どっちもコネの力は十分
トラック運転手組合がパラマウントとワーナーの合併反対。「労働者たちの生活を脅かす」主張

米国際トラック運転手組合「チームスターズ」は、パラマウント・スカイダンスによるワーナー・ブラザース・ディスカバリーの1110億ドル規模の買収取引に反対を表明し、米司法省に介入するよう要請している。
組合の名称に使われている “チームスター(Teamster)” は、19世紀から20世紀初頭にかけての米国における荷車の御者を指す言葉を由来とする。現代においてこれに該当するのがトラック運転手というわけだが、この組合には運転手だけでなく倉庫作業員など物流業界の多様な労働者が所属している。
チームスターズが米司法省反トラスト局に提出した、合併の影響に関する懸念をまとめた報告書で、同組合のショーン・M・オブライエン総裁は「この合併は、スタジオを業界の巨人へと育て上げた労働者たちの生計を脅かすものだ」と述べている。
そして「企業が権力を集中させたときに何が起きるかは、これまでにも見てきた。要するに雇用が失われ、制作者が米国コミュニティから離れ、労働者が代償を払うことになる。司法省には、競争を排除し労働者家庭に害を及ぼす取引を阻止する責任がある。パラマウントとワーナー・ブラザースが国内制作と労働基準に対し、強制力ある保護を保証できない限り、この合併は進めるべきではない」と主張している。

チームスターズの懸念は主に、両社の合併による権力の集中が、その過程で雇用を削減することだ。「過去の合併では、労働者に損害を与えるという実績が十分に記録されている。ディズニーによる2019年の20世紀フォックス買収は、制作部門の廃止、大幅な雇用削減、プロジェクト中止をもたらした」と同組合は指摘する。そして「パラマウントとワーナー・ブラザースは、これらのリスクに対処するための、労働者に対する強制力のある合併特有の利益や基準をまだ発表しておらず、今後発表する意向も全く示していない」と述べている。
今回の合併案では、ハリウッドに拠点を置き、制作に必要な機材・小道具・スタッフを輸送する人々で構成されるMotion Pictures Teamsters(MPT)の組合員約1.5万人が最も大きな影響を受けるとみられている。パラマウント・スカイダンスは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーとの合併により、60億ドル以上のコスト削減が見込まれると主張している。
一方、パラマウント・スカイダンスの会長兼CEOであるデビッド・エリソン氏は、今週開催された説明会でワーナー・ブラザース・ディスカバリーの幹部らに語ったように、人員削減はこうしたコスト削減を実現する上で大きな要素にはならないと主張している。
余談だが、エンタメ情報メディアのAV Clubは、パラマウントのエリソンCEOとチームスターズのオブライエン総裁の、どちらの縁故がトランプ大統領に対してより強力かという独自の視点を読者に提供している。
同メディアいわく、エリソン氏(とその父親)は、以前よりトランプ大統領と親しい関係にある。そしてそれが、ワーナーの取締役会に対し、NetflixまたはComcastの買収提案に応じようとしたときに、ただでは引き下がらないと警告までした自信の一因だという。
一方で、オブライエン総裁は、共和党に強い影響力を持つ人物だ。またトランプ大統領は「裕福な仲間(rich buddies)」からの強い抗議は割とすんなり受けれる傾向がある。そのため、合併反対運動にチームスターズが加担したことが、双方の縁故主義の強さによって、今後事態の進む方向がわからなくなったとしている。
