10年続けることを目指した作品でした

開始から2か月待たず終了へ。Apex Legends元開発チームによるマルチプレイFPS『Highguard』

Munenori Taniguchi

Image:Wildlight Entertainment

昨年12月12日、ビデオゲームの祭典 The Game Awards 2025 の最後に鳴り物入りで発表され、2026年1月26日に無料でサービスを開始したマルチプレイFPSゲーム『Highguard』が、3月12日でサービスを終了することを、開発元のWildlight Entertainmentが明らかにした。

The Game Awardsの「One Last Thing」として発表される作品は例年、その時期の期待作・注目作が占めていた。だが、ここにHighguardが登場するとはまったく予想もされていなかった。

これについて、『Apex Legends』『Call of Duty: Modern Warfare』などの元開発メンバーを含むWildlightのチームは、当初は2019年のApex Legendsのときのように事前予告を控え、サプライズローンチすることを考えていたという。だが、 The Game Awardsの主催者であるジェフ・キーリー氏の提案を受けて、The Game Awards 2025での発表という格好になったと説明している。

しかし、2019年当時とは異なり、マルチプレイFPSというジャンルにはかつてほどの勢いはなくなっている。PlayStation専用の大型タイトルとして発表されるも、まったくと言って良いほどプレイヤーに支持されなかった『Concord』のイメージが人々の記憶に新しく、このジャンルの新作は特にプレイヤーからの風当たりが強まっている。

もちろん、Apex Legendsの元開発チームが手がける新作FPSとして、期待を寄せる反応もないわけではない。またConcordのように “行き過ぎたDEI” の影響が色濃い作風ではなかったが、The Game Awardsでのファンの反応は微妙なものだった。Wildlightのダスティ・ウェルチCEOはPolygonに対し、「後から思えば、少しリスキーだったかもしれない」と述べている。

2週間でサービス終了に追い込まれたConcordに比べれば、Highguardは基本無料プレイというもあり、当初はお試し参加するプレイヤーも多かった。実際ゲーム販売プラットフォームのSteamでの同時接続ユーザー数は、ピーク時には10万人近くを記録し、その勢いで当初の懐疑論を覆す可能性も感じられた(PlayStationやXboxといったコンソール版のプレイヤー数も含めればさらに多かったはずだ)。実際、Apex譲りのテンポの速い動きだったり、動物や戦車に騎乗して戦闘ができたり、独自のレイドモードがあったりする点は好評を得ていた。

しかし、その他の部分では1プレイごとの流れの悪さや開始までの手順の多さ、その他細かい点も含め否定的な意見もあり、結果的にはサービス開始から1か月が過ぎる頃になると、急激にプレイヤー数が減少しはじめた。最終的に、Steamでの同時接続プレイヤー数は数百人程度にまで落ち込んでいる。

開発チームは何もしていなかったわけではなかった。ゲーム情報サイトPolygonのレビュアー、フォード・ジェームズ氏は「ゲームを改善するためにRainbow Six Siege風の基地要塞の導入、Overwatch風のヒーローアビリティ、サバイバルゲーム風の資源採掘・収集、ベンダー取引といった様々な要素がゲームに盛り込まれている」とした。だが「これらの要素が逆にゲーム全体をぎこちないものにしてしまった」と述べている。

Wildlightは、Xへの投稿で「チームの情熱と努力にもかかわらず、ゲームを長期的に支えてくれる持続可能なプレイヤーベースを構築することができませんでした」と臍を噛んだ。

チームはサービスが3月12日まで継続することを改めて確認し「最後の素晴らしい試合を、まだ可能なうちに一緒に楽しみつつ、どうかもう一度ご支援をいただけるようお願いいたします」と述べている。

なお、Highguardは今週後半、最後のアップデートとして「新しいWarden(プレイヤーキャラクター)、新しい武器、アカウントレベルの進行、スキルツリー」を導入する予定だ。

ちなみに、Highguardのサービス終了には兆候もあった。サービス開始からわずか2週間半の時点で、Wildlightは開発チームの人員削減を行い、最小限の中核的なメンバーでゲームをサポートしていく方針であることを認めた。またBloombergは、この解雇はチームに開発資金を提供していた中国Tencentが、それを撤回したことが原因だと報じた。

現在も、マルチプレイシューティングというジャンルそのものに人気がないわけではない。だが、まったくの新作として登場した作品が、サービスを継続するために必要な数のプレイヤーを維持していくのは、かなり難しくなっているようだ。サービス終了の3月12日までにはまだ1週間ほどの時間があるので、もしこのゲームに興味があるなら、今のうちにプレイしておくと良いだろう。

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