Core Ultra 300シリーズでもレイトレーシングが性能向上

マイクロソフト、DirectX 12の最新機能でレイトレーシング性能が最大90%も向上

Munenori Taniguchi

Image:Microsoft

インテルは先週、開発者向けにDirectX 12の最新機能を提供するアップデートの配布を開始した。

このなかのShader Model 6.9に統合されたAgility SDK 1.619に含まれるDirectX Raytracing(DXR)1.2 APIには、Shader Execution Reordering(SER:シェーダー実行順並べ替え)と呼ばれる機能が追加されている。このAPIをサポートするGPUでは、レイトレーシングやパストレーシングといった機能を使用する際に、従来よりフレームレートが大きく向上する可能性があるという。

最近のビデオゲームでは、グラフィック描画オプションにレイトレーシング機能に関する設定を用意することが増えている。レイトレーシング(光線追跡法)とは、3Dグラフィックを描画する際に、特定の光源から届く光を、反射や屈折、影、間接照明などの影響を物理的にシミュレートして再現する方式のことだ。

説明してもピンとこないかもしれないが、たとえば屋外のシーンで人や物体の影を自然に見えるように再現したり、水面・窓ガラスなどつるつるした面に映り込む背景をリアルに描画することが可能になる。

また最近は、特定の光源を考慮するレイトレーシングに対し、すべての光源からの光を考慮しつつ、その時々の描画に必要なものについて処理することでレイトレーシングよりもさらにリアルな描画を可能にするパストレーシングと呼ばれる機能も、一部のゲームで採用され始めている。

ただし、レイトレーシング・パストレーシングによる描画には非常に高度な計算処理が必要になる。たとえばPlayStation 5のゲームなどでは、設定項目でレイトレーシング機能をオンにすると、描き出される映像がリアルさを増す一方で、フレームレート(1秒間あたり描画数)が低下・制限されることが多い。PCゲームの場合は、レイトレーシングを有効化したときの効果は同様だが、そもそもPCのハードウェア構成によってグラフィック性能がピンキリであるため、描画に関する設定を細かく調整して、求める画質とフレームレートのバランスをとることが可能になっていることが多い。

今回のDirectX 12のアップデートでは、この、美しい映像が得られる一方で処理が重たいレイトレーシング(またはパストレーシング)機能を使用する際に、シェーダー実行順並べ替え(SER)APIによってアプリケーションが光線の処理順序を並べ替えて並列実行を最適化するため、処理ごとの手待ち時間が削減され、より多くのフレームをより短時間で描画することを可能にしている。

マイクロソフトが社内で実施したテストでは、最もSERの効果が大きく出たのがインテルのArc BシリーズGPUで、その性能が最大90%も向上した。これはディスクリートのGPUだけでなく、Panther Lakeアーキテクチャー(Core Ultra 300シリーズ)に統合されているXe3 GPUも含まれる。また、独自のシェーダー実行リオーダリング機能を搭載しているNVIDIAのGeForce RTX 4090でのテストでも、フレームレートが約40%向上したと報告されている。

マイクロソフトは具体的にどのGPUでSERのAPIに対応しているかを明確にしていないが、実験結果でインテルのArc BシリーズとNVIDIAのRTX 40シリーズを紹介していることから、両社のこれらの世代(またはそれ以降)のGPUなら、将来的にゲームや3DCGでのレイトレーシング性能がいまよりも向上する可能性が高い。

参考例として、XユーザーのOsvaldo Pinali Doederlein氏は自身のRTX 5080搭載マシンでこの機能を試したところ、標準状態に比べパフォーマンスが80%向上したと投稿している。

一方、AMDのGPUについては、Radeon RX 9000シリーズがSER APIをサポートしているものの、実際には機能しないとマイクロソフトは報告している。APIはサポートしていることから、おそらくAMDのGPUは将来の製品でこの機能をサポートすると考えられる。

注意点としては、マイクロソフトが実施したテスト用デモプログラムは特殊なものであり、必ずしもPCゲームで同じように高い効果を示すかどうかはわからない。開発者がこの機能をゲームに実装したときに、どんなパフォーマンス向上がみられるかは、それが出てきてから確認する必要がある。

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