アプリの使いやすさが結構違う

AIボイスレコーダー8製品を比較! 違いと選び方、どのモデルが最適?

山本竜也

生成AIの進化に伴い、一気に普及が進んだ感のある「AIボイスレコーダー」。一昔前は、文字起こしは非常に手間のかかる作業だったが、最近のモデルでは1~2時間の会議も数分でテキスト化され、その内容の要約まで自動生成される。

登場初期こそ、文字起こしの精度にバラつきもあった。だが、現在の主要モデルにおいては、精度差はほとんど感じられなくなってきた。むしろ重要なのは、録音自体の品質だろう。ノイズが少なくクリアな音声で録音できるほど、文字起こしの精度は高くなる。

そんな中、モバイルバッテリーやオーディオ機器で実績のあるAnkerから、同社初のAIボイスレコーダー「Soundcore Work」が発売された。

一般には聞き慣れないメーカーが多いAIボイスレコーダーだが、比較的メジャーなモバイル製品メーカーであるAnkerから登場したことで気になっているという人もいるだろう。

約10gという世界最小・最軽量のボディと、カード型の充電ケースを採用した本機の実力はいかなるものか。本記事では、Soundcore Workの実機レビューを踏まえつつ、現在販売されている主要8製品を比較してみた。

Anker Soundcore Work

比較に使用したAIボイスレコーダー

今回は、Soundcore Workを含め、以下の主要製品を比較してみた

  • Anker Soundcore Work(2万4990円):クリップ型のマイク本体は約10gで、世界最小・最軽量をうたうAIボイスレコーダー。カード型の充電ケースが特徴的
  • PLAUD NotePin(2万7500円):クリップ、リストバンド、ネックレスなどさまざまな形態で使用できるウェアラブルAIボイスレコーダー
  • PLAUD Note Pro(3万800円 ):カード型のAIボイスレコーダー。ディスプレイを搭載しており、バッテリー残量や録音状態を把握しやすい
  • Notta Memo(2万3500円):古参の文字起こしサービスNottaが発売するカード型のAIボイスレコーダー。録音データをそのままNottaに取り込んで活用できる
  • Zenchord 1(2万6980円):オーディオブランドZenchordが手掛けるイヤホン型のAIボイスレコーダー。Nottaと提携しており、文字起こしやデータ管理はNottaで行う
  • Viaim RecDot(3万4800円):イヤホン型のAIボイスレコーダー。イヤホンでの通話録音のほか、マイクを搭載した充電ケースで対面の録音にも対応する
  • viaim OpenNote(3万2800円):オープンイヤー型のAIボイスレコーダー。イヤホンを装着したまま対面での会話を録音できるのが特徴
  • HiDock P1(2万6800円):昔ながらのボイスレコーダー風の外観を持つAIボイスレコーダー

ハードウェア比較

デバイスの形状は、録音の即応性に直結する重要な要素と言える。以下に主要モデルのスペックを整理してみた。

製品名重量(本体)形状バッテリー駆動時間収音範囲価格(税込)
Soundcore Work約10gクリップ型最大8時間
ケース併用で32時間
最大5m2万4990円
PLAUD NotePin16.6gウェアラブル最大20時間最大5m2万7500円
PLAUD Note Pro30gカード型最大30時間(音声強化モード)最大5m3万800円
Notta Memo約28gカード型約30時間3m2万3500円
Zenchord 110g(片耳)イヤホン型最大10時間
ケース併用で最大30時間
約6m(ケースでの録音)2万6980円
viaim RecDot4.9g(片耳)イヤホン型9時間
ケース併用で36時間
最大7m(ケースでの録音)3万4800円
viaim OpenNote約13g(片耳)イヤホン型最大19時間
ケース併用で53時間
不明3万2800円
HiDock P172gICレコーダー型最大8時間約3m2万6800円

Soundcore Workは、約10gと小型軽量になっており、マグネットクリップを用いて衣服へ容易に装着できる。付属のネックレスチェーンでネックレスとしても利用可能だ。

常に身に着けていても邪魔になりにくいので、「これ録音しておこう」と思った瞬間に録音を開始できるのが最大の強みだ。また、カード型の充電ケースに収納するだけで充電が行われるため、バッテリー管理の煩わしさからも解放される。

マイク本体をカード型の充電ケースから分離して使えるのが特徴。充電ケースにもバッテリーが内蔵されており、ケースに戻すことで本体の充電も行える
マイク本体は10gと非常に軽量
マグネットクリップで服などに留めておくことができる

これと近いアプローチをとるのがウェアラブル特化型のPLAUD NotePinだ。アクセサリーのように身につけられ、対面での会話や自身の音声を即座に録音する用途に適している。

PLAUD NotePinは、クリップやリストバンド、ネックレスなど持ち運び方の自由度が高い

一方で、スマートフォンとの一体感や物理的な安定感を求める用途には、カード型のPLAUD Note ProやNotta Memoが選択肢に入るだろう。

こちらは、専用ケースに収納することで、スマートフォンの背面に貼り付け(MagSafe対応)、一緒に持ち歩いたりスマートフォンの通話を録音したりできる。会議中に机上に出していても違和感は少ない。反面、机などがない場面では置き場所に困ることもある。

カード型のPLAUD Note Pro(左)とNotta Memo(右)
どちらも専用ケースに入れればMagSafe対応のスマートフォン背面に貼り付けることができる

身の回りのデバイス数を増やしたくない層には、日常的なイヤホンとして使いつつワンタッチで録音可能なZenchord 1や、viaimのOpenNote、RecDotがおすすめだ。

Zenchord 1とviaim OpenNoteは長時間の装着を前提としたオープンイヤー型を採用し、viaim RecDotはインナーイヤー型となっているので、イヤホン型デバイスの中でも好みの装着スタイルを選択できる。

左から、オープンイヤー型のZenchord 1、カナル型のviaim RecDot、オープンイヤー型のviaim OpenNote

オンライン会議が中心のデスクワーク環境であれば、PCに接続して利用できるHiDock P1が便利だ。従来型のボイスレコーダーに近い形状で、対面会議での単体録音とPC接続でのオンライン会議録音の両方に対応している。普段使っているイヤホンをHiDock P1とペアリングし、オンライン会議を録音することも可能だ。

従来のICレコーダーに形状が近い、HiDock P1

アプリケーション比較

録音後のデータをどのように処理するかも、実用性を左右する要素だ。

Soundcore Workは専用アプリ内で30種類以上の要約テンプレートを用意しており、議事録作成などの定型業務を効率化する仕様となっている。

Soundcore Workの要約は、AIモデルとしてGPT-5.2を使用する。30種類の要約テンプレートを選べるほか、ベータ機能だが、文字起こしの際にどのジャンルの文字起こしかを選択できる。これにより業界特有の単語に対応できるようだ

PLAUD製品もできることはほぼ同等だが、利用できるAIモデルとしてChatGPTやClaudeといった複数のLLMを切り替えられる柔軟性を持ち、要約のスタイルや出力形式をより細かく調整できる。

PLAUDは、AIモデルを5つから選択可能。自動選択にすることもできる。また、要約テンプレートも豊富に用意されており、他のユーザーが作成したテンプレートも適宜追加されているのが特徴となっている

一方、Notta Memoや、Nottaアプリと連携するZenchord 1は、長年蓄積されたNottaの日本語解析能力を基盤としている。

Nottaはモバイルアプリもあるのだが、機能的にも見易さ的にもWeb版の方が優れている。テンプレートの種類は非常に豊富だ。なお、AIモデルはClaude 3を使用している

ZoomやTeamsなどの外部サービスと連携できる機能も備わっており、既存のビジネスワークフローへの組み込みやすさで優位性を確保している。

連携できるサービスが豊富なのもNottaの特徴だ

viaim製品やHiDock P1は録音までの手軽さが魅力ではあるが、要約機能に関してはPLAUDやNotta、Ankerと比べると一歩劣る印象だ。文字起こしの精度自体は遜色がないので、文字起こしのデータをNotebookLMやChatGPTなど、他のサービスにインポートして活用する使い方が向いているかもしれない。

viaimは、要約に使うAIモデルとして6種類から選択可能。ただし、3つは有料のProプランが必要だ。ただ、AIモデルが選べても要約のフォーマットが2種類しかなく、そのまま活用するには心許ない
HiDock P1が利用するHiNotesアプリでは、AIモデルとして4種類から選択可能。テンプレートも複数用意されているが、どんな内容のテンプレートなのか、少々わかりづらい。なお、Web版ではテンプレートの中身を確認したり、作成したりも可能だ

デバイス単体と専用アプリでの完結性を求めるか、既存システムや他のサービスとの連携を重視するかで評価が分かれる部分だろう。

アプリ名製品名AIモデルの選択肢テンプレート数 外部サービス連携
SoundcoreSoundcore WorkGPT-5.230種類以上Notion
PLAUDPLAUD Note Pro/NotePinGPT-5、GPT-5.2、Gemini 2.5 Pro、Gemini 3 Pro、Claude Sonnet 4.51万種類以上Zapier経由
NottaNotta Memo/Zenchord 1Claude 330以上多数
viaimViaim RecDot/ OpenNoteGemini 3 Flash、GPT-5 Mini、Claude Haiku 4.5、Gemini 3 Pro、GPT-5.2、Claude Sonnet 4.52種類
HiNotesHiDock P1Claude 4.1、GPT-4.1、GPT-5、Gemini-3.0 Pro39種類Googleカレンダー、Microsoft Outlook、Notion、Googleドキュメント、OneNote

サブスクリプション比較

多くの製品は「本体価格」とは別に、文字起こしサービスを利用するための「月額料金」が発生する。長期間使用する場合、このランニングコストも無視できない。

Soundcore Workは無料のStarter Planでは、文字起こしは300分/月まで利用可能。1200分/月まで利用できるPro Planを月額2680円、あるいは年額1万5980円で提供している。年額3万8980円で文字起こし時間が無制限になるUnlimited Planも用意されている。

PLAUDも無料プランでは文字起こしは300分/月まで。月額3000円あるいは年額1万6800円のProプランでは1200分/月まで利用可能。その上に無制限のUnlimitedプランがあることも含めて、内容としてはAnkerと同等だ。

なお、Soundcore WorkとPLAUDは、サブスクリプションに加入しなくても、文字起こし時間のみを購入することができる。サブスクリプションに含まれる追加の要約テンプレートやその他のAI機能などを必要とせず、単に文字起こしのみを行いたいというのであればランニングコストを抑えることができる。

Soundcoreアプリ内で120分480円から文字起こしの時間を購入可能

Nottaの場合、無料プランで300分/月ということに変わりはないが、月額1980円(年額1万4220円)のプレミアムプランでは1800分/月まで利用できる。ただし、無料プランでもプレミアムプランでも、インポートできるファイル数は100個/月、要約回数も100回/月という制限がある。

viaimは、無料プランで利用できるのが600分/月と他の2倍になっている。月額1500円(年額1万2000円)のProプランではNottaと同じく1800分/月まで利用可能だ。

特徴的なのがHiDock P1だ。HiDock P1の購入者であれば、無料かつ時間無制限で文字起こしを行える。有料プランのプロメンバーシップも用意されているが、サブスクリプションではなく、使いたい分だけクォータを消費し、そのクォータに対して料金を支払う仕組みになっている。

プロメンバーシップに入ると文字起こしにもクォータを消費するが、話者識別やNotionやGoogleドキュメント、OneNoteなどの外部サービス連携で差別化が行われている。

サービス 無料プランの文字起こし時間 (月間)有料プラン (月額 / 年額)有料プランの文字起こし時間(月間)備考
Soundcore Work300分2,680円 / 15,980円 (Pro)1,200分無制限プラン(年額38,980円)あり。時間のみの都度購入も可能
PLAUD300分3,000円 / 16,800円 (Pro)1,200分無制限プランあり。時間のみの都度購入も可能
Notta (Notta Memo / Zenchord 1)300分1,980円 / 14,220円 (プレミアム)1,800分時間とは別に回数制限がある
viaim600分1,500円 / 12,000円 (Pro)1,800分無料枠が多く、導入のランニングコストを抑えやすい
HiDock P1無制限クォータ1200分1880円~クォータによる機器購入者は時間無制限で文字起こしが無料

まとめ

各製品の特徴を踏まえ、利用スタイル別の推奨モデルをまとめると、以下のようになる。

即応性と軽さを最優先するなら

Anker Soundcore Work/PLAUD NotePin

圧倒的に軽く、装着ストレスのないSoundcore Workは、日常的に装着しておき、ふとした立ち話もとっさに録音したい人に最適だ。Ankerのサポート体制も含め、初めてのAIレコーダーとしても強くおすすめできる。一方、PLAUD NotePinは、クリップ以外にもリストバンドやネックレスなど多様な装着スタイルに対応し、アクセサリー感覚で身につけられる点が魅力だ。要約のテンプレートも豊富なので、自分好みにカスタマイズして使いたいというパワーユーザーにはPLAUDが適している。

対面会議やスマホ通話の記録がメインなら

PLAUD Note Pro / Notta Memo

スマホの背面に常駐させられるカード型は、急な電話や会議にも即座に対応できる。MagSafe対応で常にスマホと一体化しているため、「録音デバイスを忘れた」という事態が発生しにくい。PLAUD Note Proはディスプレイ搭載でバッテリー残量や録音状態を一目で確認でき、長時間の会議でも安心だ。

一方、Notta Memoは既存のNottaユーザーであれば、これまでのデータとシームレスに統合できる点が大きなアドバンテージとなる。ZoomやTeamsなど外部サービスとの連携も強力で、企業導入を検討している場合は特におすすめできる。

Web会議と音楽鑑賞を一台で済ませたいなら

Zenchord 1/viaim OpenNote

普段使いのイヤホンとして機能しつつ、録音ボタン一つで会議記録が開始できる利便性は、デスクワーカーにとって大きな魅力だ。Zenchord 1はオープンイヤー型で長時間装着しても疲れにくく、Nottaと連携できるのも魅力だ。

viaim OpenNoteも同様にオープンイヤー型だが、装着したまま対面での会話も録音できる点がユニークだ。「常にイヤホンをつけている」というライフスタイルの人にとって、デバイスを一つ減らせる意義は大きい。

ただし、要約機能は他社に比べるとやや簡易的なため、文字起こし後に自分でNotebookLMやChatGPTなど、他のサービスで加工する前提で使うのが良いだろう。

文字起こし時間を気にせず使いたいなら

HiDock P1

デバイス購入者は文字起こしが無制限かつ無料という、HiDock P1最大の強みがここにある。月に何十時間も会議をする人にとって、ランニングコストが実質ゼロとなる圧倒的なメリットだ。

形状的にはクリップ型やカード型ほどの機動性はないが、会議室のテーブルに置いて使う分には何の問題もない。サブスクリプション疲れを感じている人や、長期的なコストを重視する人、大量の会議を処理する必要がある人には特におすすめできる。

AIボイスレコーダーは、時間の使い方、働き方を大きく変えるポテンシャルを持つツールだ。自身のスタイルに合った一台を選び、議事録作成やメモ取りといった煩雑な作業から解放され、より本質的なことに集中できる環境を手に入れてほしい。

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