大型ロケット組立棟に戻して原因調査・対策を施します

有人月探査のアルテミス2号、ロケット上段に新たな異常発見。3月の打ち上げが困難に

Munenori Taniguchi

Image:NASA

NASAは、アポロ17号以来となる月周回軌道への有人ミッションとなるアルテミス2号に新たな異常が発見されたことを明らかにした。

問題が見つかったのは2月20日夜(現地時間)のことで、Space Launch System(SLS)ロケット上段にあるヘリウムガス系統のチェックにおいて、必要な流量が確認できなかったとのこと。

SLSの上段部分は、エンジンの適切な環境条件を維持し、液体水素および液体酸素の推進剤タンクを加圧するためにヘリウムを使用する。この部分は2月19日に終了したウェットドレスリハーサルでは正常に機能していたが、その後の通常運用および再構成中に、ヘリウムが適切に流れないことがわかったという。

NASAのジャレッド・アイザックマン長官は、Xへの投稿でこの問題はアルテミス1号でも兆候があったとし、想定される原因について詳しく述べた。それによると、地上機と飛行体の間にあるアンビリカルケーブル上の最終フィルターか、同様の問題が観測されているQDアンビリカルインターフェースの故障、または機体に搭載されるチェックバルブの故障が原因候補に挙げられるとのこと。

いずれにせよ、これらの問題の調査、解決には大型ロケット組立棟(VAB)にSLSを戻す必要がある。アイザックマン長官は「(この問題は)ほぼ確実に3月の打ち上げ時期に影響を与えるだろう」と述べ、スケジュール的に3月の打ち上げが難しくなったことを認めた。NASAも「ロールバックが行われた場合、NASAは3月の打ち上げ予定期間内にアルテミスIIを打ち上げることができなくなる」と説明している。

3月の打ち上げ可能な日にちは6~9日および11日となっており、他の月に比べ機会が若干少ない。4月の次の打ち上げ可能日は、4月1日、4月3日~6日、そして4月30日だ。

NASAは今回の延期について記したアップデートで「迅速な準備を行い、データの調査結果、修復作業、そして今後数日から数週間のスケジュールの実現状況次第では、(VABへの)ロールバックが必要になった場合でも、NASAは4月の打ち上げ予定期間を維持できる可能性がある」とした。

アルテミス2号は、1972年以来初の月周回有人宇宙飛行ミッションであり、NASAのSLSロケットとオリオン宇宙船に宇宙飛行士が搭乗する初のミッションとなります。搭乗するのは、リード・ワイズマン飛行士、ヴィクター・グローバー飛行士、そしてミッションスペシャリストのクリスティーナ・コッホ飛行士、ジェレミー・ハンセン飛行士の4名。4人は金曜日にNASAの規定によって定められた打ち上げ前の感染症予防のための隔離生活に入ったが、今回の問題発見ののちに隔離を解除されることになった。

有人宇宙ミッションでは、些細な問題でもそれを見逃せば致命的な事故につながる可能性がある。当然ながら過去のスペースシャトルの事故などで、NASAはそのことを理解しているはずなので、しっかりと対策を施し、万全の体制で打ち上げに臨んでほしいところだ。

関連キーワード: