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「月面歩行体験」をウリにする“謎の巨大球形施設”の計画発表。ラスベガスSphereの約2倍

1969年7月、アポロ11号の月着陸船から宇宙飛行士のニール・アームストロングとバズ・オルドリンが月面に降り立った。あれから56年半が過ぎたが、いまも、またこれから先も、人類の大多数にとって、月は訪れることのない場所であり続けるはずだ。
しかし2026年のいま、人々に月面で過ごす体験の機会を与えようという考えのもと、50億ドル規模とも言われる計画がカナダ・トロントを拠点とするデザインスタジオMoon World Resorts(MWR)によって提案されている。もしその文言どおりなら、われわれは地上に居ながらにして、月面生活をほんの少し味わえるようになるかもしれない。
MWRが発表した「Moon」と呼ばれるその施設の完成予想図には、月を模した巨大な球体を中心に、周囲を取り囲む約20のタワー群と、それを最上階で結ぶリング状の回廊を持つ建築物、約16個の小さな(と言っても十分に巨大な)球形の構造物が描かれている。中心にある月の大きさは直径271m、地上高は312mに達し、米ラスベガスにある球体アリーナ施設「Sphere」の約2倍の直径になるという。
資料によれば、この施設は宇宙旅行への「架け橋」となる大規模リゾートを目指すとされ、施設には4000室の大型ホテルをはじめとする一大リゾートが建設される予定で、コンベンションセンター、イベントスペース、レストラン、ウェルビーイング施設、そして小規模なブティックホテルなどが建てられる計画だ。
メインアトラクションとなるのは、人々が月面を歩くような感覚を体験できるように設計された「本物の宇宙観光に参加できる」とうたう施設だ。ただこれが巨大な月の中に設置されるのか否か、またどのようにして「本物の月面歩行」の感覚を実現するのかについては説明がまったくない。
また、「Moon」の建設候補地はオーストラリア、ブラジル、中国、エジプト、インド、ポーランド、スペイン、タイ、アメリカ合衆国、アラブ首長国連邦などが挙げられているが、こちらもまだ決定していない。それにもかかわらず、MWRはこのリゾート施設計画が順調に進めば、2032年にも開業できると豪語している。
中東の国々では、近年このような巨大建築物の建設計画が多く発表されるようになりつつある。なかでも最たるものは、170kmにわたって連なり、居住者150万人規模の巨大ビル都市の建設を目指すと謳ったサウジアラビアの「The Line」だ。
5000億ドル規模とも言われたThe Lineは、2021年1月10日に発表され、2024年には住民の入居を開始するとの計画が当初は発表されたが、最近Financial Timesなどが報じたところでは、すでにSFのような巨大都市の構築は経済的、技術的課題のために見送られ、巨大AIデータセンターを構築する方向へと方針を転換したとされている。建物の全長も、170kmから数kmまで縮小された。
MWRのMoonは、The Lineに比べればまだ実現可能な構想だと思われるが、それでも計画には不明な点が多い。MWRは4年前にも月を模した球体を配置したリゾート計画を発表しており、今回の計画はその焼き直しと思われる。プロジェクトにどれほどの投資家や企業が参加するのかも不明なので、ある程度形が見えてくるまでは、眉唾で観ておくほうが良いかもしれない。
- Source: Moon World Resorts
- via: New Atlas
