12月に王座を奪われていました

3DプリントのDIYドローンが「世界最速」平均時速657km達成。ギネス世界記録を取り戻す

Munenori Taniguchi

Image:Luke Maximo Bell/YouTube

エンジニアでYouTuberのルーク・マキシモ・ベルとその父親マイクは、2025年12月11日に南アフリカのケープタウンで自作したドローンを時速657.59kmで飛行させ、ギネス世界記録の最速ドローンの称号を取り戻した。

親子は2024年6月に時速480kmでギネス認定を受けた後、2025年10月に時速580kmと記録を更新していたが、同年11月にオーストラリアの航空エンジニアであるベンジャミン・ビッグスが時速626kmを叩き出し、一時的にギネス世界記録保持者の座を奪われていた。

ベル親子が自ら設計開発したPeregreen V4クワッドコプターは、初代モデルから2年以上をかけて改良を続けてきたもので、名前が示すとおり4世代目の機体となる。

3Dプリンターを駆使することで、親子はプロトタイプ製作のスピードを早め、機体のモディファイを重ねることが容易になったとしている。特に、高速飛行するドローンの尾の部分や、オンボードカメラのマウント部分には機体本体と異なる素材を使う必要が生じたが、そのプロトタイピングにも3Dプリンターは役に立ったとのことだ。そして、「新しい(3D)プリンターと、そのデュアルノズルシステムのおかげで、より大きな造形が可能になった」とルークは述べている。

Peregreen V4を製作したBambu Lab H2D 3Dプリンターは、PETG、PA6-CF、TPUなどの複数の素材を使用して、機体を一体のパーツとしてプリントすることを可能とした。ルークは「より滑らかな空力特性と、以前よりもはるかに高い表面仕上げ品質を実現」し、より大きく滑らかなボディで空気抵抗削減につながったとしている。

もちろん、3Dプリンターだけで、一朝一夕にこのとてつもない速度で飛ぶドローンが作れるわけではない。親子は2年以上続けてきたドローン開発のなかで、数値流体力学(CFD)モデリング、ラピッドプロトタイピング、そして反復的な飛行試験を経て、その空力特性を改良してきたとのことだ。

超高速飛行を可能にする原動力であるモーターについては、AOS Supernova、AMX 2826、T-Motor 3120の3種類をテスト機に装着、その推力を厳密に測定した。その結果、温度変化に対する信頼性が高く、耐久性も高かったT-Motor 3120を4基使うことを決めたという。なお、このモーターは印加する電圧1Vあたりの定格回転数を従来の800rpmから900rpmにアップグレードしたものを使用した。その他、ローターブレードの大きさなどにも微調整が加えられた。

Peregreen V4の飛行の様子は、YouTubeで公開された動画を確認するのが手っ取り早い。動画のなかで見ることができるその飛行シーンは、まず何よりも飛行時の音が普通のドローンとは全く違う。そして当然ながら、飛行速度も見る前のイメージを遥かに超えるものだ。実際、操縦しているルーク本人も、撮影用に飛ばしたもう1基のドローンでPeregreen V4を追えるのはせいぜい10秒程度で、すぐに見失ってしまったと述べている。

今回はめでたくベル親子のもとにギネス記録が戻ってきたが、そうなると今度はたった1か月の短い戴冠となってしまったライバル、ビッグスがどのようなドローンで再び記録に挑んでくるのか(こないかもしれないが)、いまから楽しみだ。

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