ChatGPT統合はどうなるのか

アップル、Google Gemini採用を発表。今年後半予定「強化版Siri」搭載へ

多根清史

Image:Mamun_Sheikh/Shutterstock.com

アップルがGoogleのGemini AIモデルを活用し、今年後半にリリース予定の強化版Siriを推進することを、両社が正式に発表した。アップルはCNBCの取材に対して提携を認め、Googleは公式ブログで共同声明を公表している。

まずアップルは、CNBCのジム・クレイマー氏に対する声明の中で次のように述べた。「慎重な評価の結果、Googleの技術がApple Foundation Modelにとって最も有能な基盤を提供すると判断した。これにより、ユーザーに解放される革新的な新体験を非常に楽しみにしている」という。

これに対しGoogleも、公式ブログにおいて次の声明を発表している。

「アップルとGoogleは、複数年にわたる協業に合意した。この協業のもと、次世代のApple Foundation Modelは、GoogleのGeminiモデルおよびクラウド技術を基盤とする。これらのモデルは、今年提供予定の、よりパーソナライズされたSiriを含む、将来のApple Intelligence機能を支えることになる」

両社の契約は、短期的な取り組みではなく、複数年にわたるパートナーシップになるとされている。

アップルは約1年半前のWWDC 2024において、Apple Intelligenceのエコシステムを発表した。通知要約、文章作成ツール、Image Playground、Genmojiといった機能は、すでに段階的に提供が始まっている。

一方で、個人コンテキストの理解、画面上の状況認識、アプリ内操作といった中核機能を担う「刷新されたSiri」については、いまだ提供に至っていない。昨年3月、ジョン・グルーバー氏に対する声明の中でアップルは、これらの機能の実装に想定以上の時間を要していると説明していた。

今回の正式表明は、数か月前からBloombergのマーク・ガーマン記者が報じてきた内容を裏付けるものでもある。同氏によれば、アップルがGoogleに支払うライセンス料は年間およそ10億ドル規模になる見込みだという。

また、刷新版Siriに使われるカスタム版Geminiモデルは、約1.2兆パラメータという極めて大規模なものになるとされている。これに対し、iPhoneなどの端末上で動作するAIモデルは約30億パラメータに過ぎず、その規模差は圧倒的だ。

もっとも、アップルとGoogleは、この提携に関する技術的・財務的な詳細については明らかにしていない。現時点では、カスタムGeminiモデルはアップルのプライベートクラウドサーバー上で動作し、Apple IntelligenceやSiriの一部機能のみを支え、その他の機能は引き続きアップル独自のモデルが担う形になると見られている。

この提携が、すでに実装されているiOSへのChatGPT統合にどのような影響を及ぼすのかも不明である。現在のChatGPT統合は、「通常のSiriでは対応しきれない複雑な質問や高度なリクエストを、外部のOpenAIサーバーに振り分けて処理する」仕組みだ。一方、カスタムGeminiモデルは「アップルのクラウドサーバー内で処理が完結する」点が大きく異なるため、少なくとも当面は両者が共存できる見通しだ。

ただしアップルは、SoCやモデムといった分野において、「まず他社技術を採用し、成熟後に内製へと移行する」戦略を一貫して取ってきた。AIモデルについても同様に、将来的には内製に移行していく可能性は高いだろう。

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