TSMCとのデュアルファウンドリに

「Snapdragon 8 Elite Gen 5」をサムスン2nmで製造、TSMCの3nmと2系統に?

多根清史

Image:Chintung Lee/Shutterstock.com

クアルコムが、スマートフォン向け最上位チップであるSnapdragon 8 Elite Gen 5について、サムスンと2nm版の製造に関する協議を開始したと報じられている。

現在、このチップはTSMCの3nmプロセス(N3P)のみで製造されている。仮に協議がまとまり、サムスンでの製造が実現すれば、クアルコムは数年ぶりにデュアルファウンドリ(製造委託先を2社に分散する戦略)へ回帰することになる。

クアルコムのクリスティアーノ・アモンCEOは、CES 2026の会場で記者団に対し、「多くのファウンドリ企業の中で、我々はまず最新の2nmプロセスを用いた受託製造について、サムスン電子と協議を開始した。また、近い将来の商用化を目標に、設計作業も完了している」と語った。

アモン氏は、どのチップが対象となるかについては明言していない。ただし、韓国経済新聞は「現在TSMCの3nmプロセスで製造されているSnapdragon 8 Elite Gen 5を、2nmプロセスで製造する計画だ」と報じている。

仮にこの計画が実現すれば、Snapdragon 8 Elite Gen 5には3nm版と2nm版の2系統が存在することになる。サムスンのフラグシップ機には、従来からクロックを引き上げたSnapdragonの「for Galaxy」版が搭載されてきた経緯があり、その延長線上に位置づけられそうだ。

さらに韓国経済新聞によると、この製造発注が実現すれば、クアルコムとサムスンの提携が復活するのは約5年ぶり(Snapdragon 8 Gen 1以来)となるという。

数カ月前、サムスンが2nm GAA技術を用いて自社設計チップ「Exynos 2600」の量産を開始したと報じられた際、歩留まりは約50%と見積もられていた。その後、これを70%まで引き上げる計画があるとも伝えられていたが、そうした目標は着実に実現しつつあるようだ。

実際、Samsung Foundry(サムスンのファウンドリ事業)は、TeslaのAI6チップに関して165億ドル規模の契約を獲得したほか、中国の暗号資産機器メーカー2社向けに2nm GAAプロセスでの受注も確保している。また、これまで歩留まりの低さに苦しんでいた4nmプロセスについても、米国のAI企業と1億ドル規模の契約を締結しており、徐々に信頼を回復している状況だ。

別の情報源によれば、サムスンは2nm GAAウエハーの価格を2万ドルに設定し、1枚3万ドルとされるTSMCの2nmウェハーよりも安価に提供しているという。

TSMC製のSnapdragon 8 Elite Gen 5は、1個あたり280ドルと推定されている。製造コストの上昇を避けるため、今後はサムスンへの発注比率が高まる可能性もありそうだ。

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