製品サポートはなにも影響なく継続されます
ロボット掃除機「ルンバ」のiRobotが破産、中国企業傘下で事業継続へ

ロボット掃除機のルンバ(Roomba)で知られるiRobotは、中国企業の低価格攻勢に加えトランプ政権による高関税政策のあおりにより財政悪化のため、月曜日に連邦破産法第11条の適用を申請した。
iRobotといえば、2022年に米Amazonが約17億ドルで同社を買収することでいったんは合意した過去がある。だがこの取引に対し、米国と欧州連合(EU)の両方から、独占禁止に関する調査や反対の意向が示され、買収が撤回された。
このとき、Amazonは「不当かつ不均衡な規制上のハードル」を撤回の理由に挙げた。Amazonは当時、iRobotに対し、以前から合意していた買収合意の解約金9400万ドルを支払うと発表した。また、iRobotは会社の安定化を図るため従業員の約31%を解雇し、CEOも退任した。
しかし、その後もiRobotは海外のライバル企業、特に中国企業の安価な価格で提供されるロボット掃除機との競争に疲弊していった。さらに、ルンバのほとんどはベトナムで製造されていたことから、トランプ大統領による高関税政策の影響を正面から受ける格好となり、財政難を立て直すことが不可能になった。破産申請の中で、iRobotは米国税関・国境警備局(CBP)に対し、340万ドルの未払い関税を負っていることを明かしている。
今回の発表では、iRobotは破産申請によって再建プロセスに入り非公開化されるものの、通常通り事業を継続し、製品や専用アプリなどのサポートを取りやめたり、顧客プログラム、グローバル パートナー、サプライ チェーン関係、継続的な製品サポートに支障を来したりといった事態にはならないことを強調している。
また発表では、再建は単独ではなく、中国・深圳Picea Roboticsに買収され、同社傘下に入った上で行われることも明らかになった。Piceaは中国とベトナムに拠点があり、iRobotの主要サプライヤーとして、これまでに2000万台以上のロボット掃除機を製造してきた実績があるという。iRobotは、Piceaに対しても約1億ドルの負債を抱えているとのことだ。
ちなみに、Piceaは自社ブランド「3i」でiRobotと競合する家電を製造しており、同社のウェブサイトにはSharkやEufyといった掃除機ブランドのほか、Ankerなどの製品の製造にも携わっていることが掲載されている。
iRobotのCEO、ゲイリー・コーエン氏は「今回の取引により当社の財務状況が強化され、消費者、顧客、パートナーへの継続性の提供に貢献するだろう」とプレスリリースで述べている。
なお、iRobot共同創業者で元CEOのコリン・アングル氏は、同社の破産申請は「非常に残念で避けられたはずのものだった」と述べ、「これは消費者、ロボット産業、そしてアメリカのイノベーション経済にとって、まさに悲劇だ」とCNBCに語った。
- Source: iRobot(PR Nerswire)
- via: CNBC ABC News BBC
