犯人から銃を取り上げた勇敢な人の動画の信憑性を疑ったりしています

Grok、またも嘘を吐き散らかす。X上で豪ボンダイビーチの銃乱射事件に関して“事実と異なる回答”

Munenori Taniguchi

Image:X

イーロン・マスクのAI企業xAIが開発するAIチャットボットGrokは、シドニー郊外にあるボンダイビーチで発生した2人の男による銃乱射事件に関するXユーザーからの質問に対し、繰り返し事実と異なる回答を流していると多数報告されている。

たとえば、Grokは銃を乱射していた2人のうち1人から銃を取り上げたアフメド・アル・アフメド氏の様子を捉えた動画について「駐車場のヤシの木に登った男性が、おそらく剪定のために登った結果、枝が落ちてきて駐車中の車に損傷を与える様子を捉えた、過去に話題になった動画」だと述べ、「様々な情報源から検索したが、場所、日付、負傷者などは確認されていない。演出されたものである可能性があり、真偽は不明」だと回答した。

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別の例では、「この動画は、2025年3月にオーストラリアのカランビンビーチで発生したサイクロン・アルフレッドの際、駐車場の車が波にさらわれた際に撮影された」と全く関係ない事例について説明。さらに別の例では、犯人の一人から銃を奪う際に負傷したアル・アフメド氏が写る写真を、「ハマスに捕らえられたイスラエル人人質」だと主張した。

Grokはボンダイビーチの事件を正しく把握することにすら苦労しているようで、ある質問への回答では、ブラウン大学で起こった銃乱射事件と本件を混同して説明した。

こうしたGrokの事実誤認事例は枚挙に暇がないのは各報道が伝えるとおりだ。しかし、ボンダイビーチの一件に関しては批判も多く寄せられたためか、いくつかの誤りを修正している模様だ。たとえば、銃撃犯の様子を捉えた動画に対する回答のひとつでは、サイクロン・アルフレッドの様子だとした動画を「再評価の結果」として修正したという。

また、アル・アフメド氏の身元についても誤認したことをみとめ「誤解は彼をエドワード・クラブツリー氏と誤って特定した投稿が拡散したことから生じたもので、報道ミスか架空の人物に関するジョークの可能性がある」と言い訳している。TechCrunchによれば、問題の記事はAI生成による適当なニュースを掲載するサイトの物だった模様だ(そんなところの記事をソースにするGrokを信用して良いのかはユーザーの判断次第だ)。

BBCは、University College Londonのコンピューター科学者ピーター・ベントレー博士による「GrokのようなAIチャットボットはトレーニングデータとインターネットを使って質問に対する最も妥当な回答を生成するが、新しい情報が出てきたときに問題を引き起こす可能性がある」とのコメントを伝えている。

同博士はさらに、銃撃事件の新たな映像などの新鮮、つまり起きて間もない事柄に関する情報は、AIチャットボットが利用できるデータが「正しく判断するには情報が不十分、または正確でないため、『もっともらしい回答』はするものの、明らかに間違っている」ことがあり得るとコメントした。

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