円安の日本には厳しい価格になりそう

アップル初の折りたたみiPhone、強気の“1000万台生産計画”か

多根清史

Image:Wit Olszewski/Shutterstock.com

アップルは初の折りたたみiPhone、通称「iPhone Fold」用に、Samsung Display(以下、サムスン)に対して2200万枚の有機ELパネルを発注したと報じられている。これは業界の当初予想を大幅に上回る規模だと韓国メディアET Newsは伝えている。

今回の報道(記事執筆時点では削除済み)によると、サムスンは来年、アップル向けに1100万枚の内折り有機ELディスプレイと、それに対応する1100万枚の外部ディスプレイを量産する計画であるという。これらの部品はサムスンが独占的に供給するとみられるため、これは初代iPhone Foldの生産目標が約1000万台であることを意味している。一般的にサプライヤーは、歩留まりや品質のばらつきを織り込んで、必要よりも多めに部品を生産するためである。

この生産目標は、当初のディスプレイ業界予測よりも30%以上多いとのこと。もともとiPhone Foldの出荷台数は600万〜800万台と見込まれており、これは全世界折りたたみスマートフォン市場がいまだに2000万台強に留まるという実績に基づく数字とされる。

iPhone Foldは高度な技術がふんだんに使われることから、価格は約37万円でiPhone 17 Pro Maxの倍になる可能性も取り沙汰されている。一般的に折りたたみスマホは高額となりやすく、そこにアップルのブランドも加われば説得力のある予想価格でもあり、その上で1000万台もの目標台数はかなりの強気と言える。

今回の報告では、iPhone Foldが書籍のように内側へ折りたたむデザインを採用し、5.35インチの外部ディスプレイと7.58インチの折りたたみディスプレイを搭載するとの予測が再確認されている。また、高度なヒンジ設計や、折り目を最小限に抑えるための特殊素材が使用されるとも伝えられている。

目新しいのは、ディスプレイに「Color Filter on Encapsulation(COE)」が採用されるとの情報である。これは従来の偏光フィルムを排除し、カラーフィルターを有機ELの封止層に直接形成する方式である。主なメリットは光透過率の向上により高輝度化と省電力化を実現しつつ、ディスプレイの薄型化が可能になることだ。

また、噂のディスプレイ下カメラ(UDC)とも相性が良く、画面にノッチやパンチホールがない、よりシームレスな全画面表示を実現できるという。光透過率が高いため画質劣化を最小限に抑えられるとともに、薄型化によりUDC配置の自由度が高まるためだろう。

初の折りたたみiPhoneは、2026年のiPhone 18 ProおよびiPhone 18 Pro Maxと同時に発表される見通しである。

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