2021年から使われていないアカウントを閉鎖させました
X、「EUで1.2億ユーロ罰金」に報復。EUのXアカウント凍結も効果ほとんどなし

Xは金曜日にEUからデジタルサービス法(DSA)違反として科せられた1.2億ユーロの罰金に対して、EUの広告アカウントを停止するという報復とも執れる措置に打って出た。ただ、そのアカウントは現在、ほぼ使われていないものであり、EUから見れば的外れな措置だったようだ。
事の発端は2024年7月、Xがユーザーに与えている青バッジに関して、誰でも料金を支払えば表示できる「認証」マークが、ユーザーを欺き、Xアカウントの真正性を判断することを困難にし、広告の透明性、研究者向けのデータアクセス、さらにはユーザーを欺くために設計された欺瞞的なインターフェースや機能を表す「ダークパターン」に関する義務を遵守していないとしてDSAに違反すると指摘したことだ。
そして、EUの技術責任者であるヘンナ・ヴィルクネン氏は先週12月5日に、DSA(デジタルサービス法)はユーザー認証を義務付けるものではないが、「オンラインプラットフォームがユーザーが認証済みであると虚偽の主張を行うことを明確に禁止している」と指摘し、「青いチェックマークでユーザーを欺き、広告の情報を覆い隠し、研究者を締め出す行為は、EUのオンライン環境では許されない」と声明で述べた。
さらに「DSAはユーザーを保護し、研究者に潜在的な脅威を発見する手段を提供する。DSAはオンライン環境への信頼を回復する。DSAが初めて不遵守と判断したことで、私たちはユーザーの権利を侵害し、説明責任を回避したX社に責任を負わせることになる」と続け、Xに対し1億2000万ユーロの罰金を科した。
違反認定によって、XはEU当局に対して60営業日以内に青バッジの「欺瞞的な」使用を修正するための措置を講じたことを報告するとともに、90日以内にその他の違反に対する修正計画を報告する義務を負う。なお、これらの期限を遵守しなければ、追加の罰金が科せられる可能性もある。
なお、EUが罰金措置を発表した直後、イーロン・マスク氏はEUの決定が「でたらめ」だと脊髄反射的にXに投稿した。ただ、反応はそれだけではなく、翌日にはEUの広告用アカウントがエクスプロイトを悪用して「ユーザーを動画だと錯覚させ、リーチを人為的に拡大するリンク」を投稿、発表のリーチを拡大する不正行為を行ったと非難して、同アカウントを閉鎖させる措置を講じた。
ただ、実際にEUが罰金措置を発表した投稿では動画が含まれているため、この時点でXの説明は正しくないとの指摘がある。また、Xいわく閉鎖されたEUの広告用アカウントは2021年以来使用されていなかったものであり、それを閉鎖したところで影響はほとんどなく、Xへの罰金もなんら変わることはない。
