インテルが非Pro向けチップ、TSMCがPro向けチップ製造の見通し

インテル製iPhoneチップ、2028年登場か

多根清史

Image:Sunil prajapati/Shutterstock.com

先週、インテルが再びアップルと提携し、2027年にMacとiPad向けのMシリーズチップ製造を開始する可能性が高いとのアナリスト予測が伝えられた。その予測を別のアナリストが裏付けつつ、2028年にはiPhone向けAシリーズチップの製造を始めると付け加えている。

アップルのサプライチェーンに詳しいMing-Chi Kuo氏によれば、まず2027年後半にインテル製の最下位Mシリーズチップが出荷される見通しだ。これまでのチップ更新ペースを踏まえるなら、最初のインテル製Appleシリコンは「M7」になる可能性がある。

今回、信頼性が高いアナリストJeff Pu氏は、Kuo氏の報告を踏襲しつつ、アップルとインテルのパートナーシップはさらに拡大される可能性があると述べている。具体的には「非Proスマートフォン向けSoC」もインテル製造になる公算が大きいという。

現時点では、非Pro向けA19チップはiPhone 17専用であり、今後登場が見込まれる廉価モデル「iPhone 17e」にも搭載されると予想されている。一方、A19 Proは他のフラグシップ機(Airを含む)に搭載される予定で、これらは引き続きTSMC製になると推定されている。

上記予測が正しければ、2028年にはiPhoneの標準モデルおよび「e」モデルにはインテル製チップが採用され、Proモデルや折りたたみモデルにはTSMC製チップという棲み分けになる可能性がある。

ただし、これは過去のようにインテル製x86系チップがアップル製品に戻ることを意味しない。チップの設計は今後もアップル社内で行われ、製造だけをTSMCに加えてインテルに委託する形になる。インテルは「追加の主要製造パートナー」という位置づけとなる見通しだ。

さらに、M5以降のMac向けチップは、最下位モデルは従来と同じSoC(1つのシリコンチップ上にCPUとGPUなどを集積)を維持する一方、ProやMaxなど上位モデルはSoIC(TSMCが開発した、複数のチップを極薄で垂直に積層接続する技術)に移行し、大きく差別化されると予想されている。その意味でも、非Pro向けチップとPro向けチップ製造をTSMCとインテルで分担するのは合理的といえる。

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