AIに機密情報を収集される心配もありません
ExcelやGoogle対抗のクラウド表計算アプリ「Proton Sheets」公開。エンドツーエンド暗号化で情報を強力保護

欧州原子核研究機構(CERN)の科学者チームが設立したスタートアップ企業Protonが、Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシートに対抗するオンライン表計算アプリ「Proton Sheets」を発表した。
Proton Sheetsの特徴は、エンドツーエンドの暗号化を提供することで、サービス提供者のProtonでさえもシートに記された情報にアクセスできない秘匿性の高さだ。
Proton Sheetsを使用するには先にProton Driveアカウント(5GBのウェブストレージが無料で使える)を用意する必要がある。いずれもウェブブラウザーから使用するウェブアプリで、Protonいわく「あらゆるデバイスから安全に」アクセスできるという。
その画面構成は、誰もが見慣れたMicrosoft ExcelやGoogleスプレッドシートと同様なので、全くの初心者でもなければ、とっかかりでつまずくことはないだろう。よく使われる表計算用の数式はサポートしており、XLSやCSV形式のファイルをインポートすることも可能だという。
Protonは2024年7月にMicrosoft WordやGoogleドキュメントと同様のウェブワープロアプリもリリースしている。
Protonは、プライバシーを念頭に置き、より良いインターネット構築を目指すCERNの科学者らによって2014年に設立された。企業として始動するにあたり、その資金としてはクラウドファンディングを通じ、科学者らに賛同する人々1万人以上からの50万ドル超の寄付が用いられた。
Protonは、1991年にCERNで誕生したワールド・ワイド・ウェブが人々の生活に革命をもたらしたとしつつも、現在のインターネットから恩恵を受ける唯一の方法は、プライバシーよりも利益を優先する企業に膨大な個人データを渡すことにほかならないと断じ、その代替案を提供するためにProtonを設立したと述べている。
2025年は生成AIが人々の生活に大きく浸透(侵入?)し始めた年になった。それはオフィスアプリケーションでも同様で、Microsoft 365 CopilotやGoogleスプレッドシートに導入されたGeminiのような生成AIツールには、ユーザーが作成する、個人情報や機密情報が含まれるドキュメントから情報が収集される可能性に懸念する声もある。
Proton Driveの製品責任者であるAnant Vijay Singh氏は、「現状では、ほとんどのスプレッドシートツールは、ユーザーデータの搾取をビジネスモデルとする巨大IT企業が提供しているのが現状だ。AIがこれらのプラットフォームに深く組み込まれることで、リスクは飛躍的に高まっている」とし、「サービスを利用するために、個人情報をさらす必要などあってはならない。Proton Docsに続き、Proton Sheetsは安全なワークスペースを実現するための次のピースとなる」と述べた。
さらにSingh氏は、Protonが提供するサービスがこれで「メール、カレンダー、ドキュメントからスプレッドシートまで、ワークスペース全体を保護できるようになった。監視もデータ収集(の心配)もない」と、同社のウェブアプリを使用するメリットをアピールした。
ちなみに、Protonのサービスは日本語でも使用可能だ。
