100万個以上を売り上げウハウハだと述べる

Amazon、NVIDIA競合AIチップ「Trainium」が継続的に数十億ドルを稼ぐとCEOが自慢

Munenori Taniguchi

Image:DFree/Shutterstock

Amazonのアンディ・ジャシーCEOは12月3日にNVIDIAの競合製品で、同社初の3nmプロセスで製造された次世代版AIチップ「Trainium3」を発表した

Trainium3はAWSのUltraServerサービスを通じてすでに提供開始されており、Trainium2と比較して少なくとも4.4倍の演算性能、4倍のエネルギー効率、そしてほぼ4倍のメモリ帯域幅を提供するという。

さらに、Trainiumチップが継続的に数十億ドル規模の収益を生み出すビジネスになっているとし、すでに100万個以上のチップが生産され、10万社以上がAIアプリ開発ツールBedrockでそれを使用しているとAmazonは述べている。

ジャシー氏は、同社のAIツールでTrainiumが支持を得ている理由として「他の魅力的なGPUオプションに比べて価格性能比で優れている」ためだと主張している。つまり、同チップは「他のGPU」よりも高性能かつ低コストだと考えているということだ。

Image:Amazon

Amazonは伝統的に、自社の製品を競合企業よりも著しく低価格で販売する手法をよく使う。Apple TVやChromecastに比べて、Fire TVがやたらと安いと思った人はいないだろうか。

なお2020年には、Peak Designという会社がAmazonでベストセラー商品として販売していた肩掛けバッグ「Everyday Sling」の模倣品が、こともあろうにAmazon Basicsブランドとして約2/3の価格で販売されているのを発見した。Amazonは商品名までそのまま流用し「Everyday Sling」として販売していた。これでは何も知らない消費者は安価なバージョンかライセンス品だと勘違いして購入してしまうだろう。それがどんな物かは、Peak DesignがYouTubeに公開した怒りの告発動画で見ることができる。

話が横に逸れたが、Amazonがこの「他のGPUよりも優れている」と主張するチップが、どうして継続的に数十億ドルもの収益を生み出すのかと尋ねられたAWSのマット・ガーマンCEOは、その根拠はAnthropicにあると述べた。

「Anthropicのパートナー企業から大きな反響を得て、50万個以上のTrainium2チップが、Claudeの次世代モデルの構築に役立っている」のだという。Amazonは言うまでもなく、Anthropicの主要投資家であるため、同社がAWSのシステムを導入するのは当然と言えば当然だ。ただ、Anthropicは現在、NVIDIAのチップを使用するMicrosoftのクラウドも使ってサービスを提供している。

OpenAIも、現在、Microsoftのクラウドに加えてAWSも利用しているAI企業のひとつだ。だが、同社はAWSのNVIDIAチップ搭載システムを使用しているため、Trainiumの収益にはほとんど貢献していないとのことだ。

現状、NVIDIAのチップで動作するように構築されたAIモデルとソフトウェアは、NVIDIA独自のCompute Unified Device Architecture(CUDA)の能力に依存している。CUDAは、アプリがGPUを並列処理などのタスクに使用できるようにするためのものだが、この部分に関わるコードをCUDAを持たないチップ用に書き換えることは容易ではないことは昨年Reutersが伝えていた

ただ、Amazonは今回発表されたTrainium3の次世代となるAIチップ「Trainium4」が、同一システム内でNVIDIAのGPUと相互運用できるように開発されると述べている。それが本当で、必要十分な性能を備えているのなら、数年後には(上記の価格戦略も使って?)NVIDIAと互角かそれ以上に渡り合うようになるかもしれない。

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