安定して末永く使えそう

ソニーがPS5内部設計を静かに刷新。液体金属設計見直しで冷却性能が向上か

多根清史

Image:Wachiwit/Shutterstock.com

ソニーはPS5の最新モデルにおいて、PS5 Proから採用された改良型の液体金属による冷却技術を導入したことが明らかになった。

X(旧Twitter)での分解報告によると、最新モデル(欧州向けのCFI-2116)では液体金属の漏れリスクが減少しつつ、冷却性能が向上しているという。具体的には、液体金属を均一に吸着させる溝を追加し、熱伝導を安定化させる設計となったとのことだ。また、ヒートシンクの設計も改良され、液体金属が周囲の部品に漏れるリスクやショートの可能性が低減されているという。

さらに、冷却ファンも改良され、ファンブレードの間に小さな間隔を設けることで冷却効率を高めていると説明されている。

PS5の全モデルには、APU(CPUとGPUの統合チップ)の冷却効率を高めるため、ヒートシンクとチップの間に液体金属が塗布されている。しかし数年前から、この液体金属が漏れ出す可能性があると指摘され、実際に故障事例が増えているとの報告が相次いでいた。

特にPS5を縦置きにした場合、重力の影響で液体金属が偏ったり漏れ出しやすくなるとも指摘されている。その結果、APUとヒートシンクの間にドライスポット(乾いた部分)が発生し、冷却効率が低下して過熱や突然のシャットダウンが引き起こされるケースもあるようだ。もっとも、実際の件数はそれほど多くはなく、トラブルが起きていなければ心配する必要はないとされる。

今回検証されたのは欧州向けモデルだが、日本向けモデルのCFI-2100シリーズも内部構造や冷却設計は基本的に同じとみられる。以前よりもSSDの容量が1TBから825GBに減らされるなどダウングレード箇所もあるが、安定した性能維持や製品寿命の延長といったメリットが大きそうである。

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