トランプのMade in USA政策にも合致

アップルが再びインテルと提携? Mac向けチップを米国で製造か

多根清史

Image:PJ McDonnell/Shutterstock.com

アップルのMacは現在すべて、同社が独自に設計しTSMCが製造したチップで動作しており、かつてのインテル製プロセッサー搭載Macは過去の存在となっている。しかし、アップルがMac向けチップ供給に関して、インテルと新たな形で提携を再開する可能性があると報じられている。

アップルのサプライチェーン情報に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏はX(旧Twitter)で、インテルが最下位Mシリーズチップを2027年第2〜第3四半期にも出荷開始するとの予測を示した。アップルはインテルの製造プロセス「18A」を採用するとみられているが、これはインテルが「北米で製造されるサブ2nm級として最も早期に利用可能になる先端ノード」と主張しているものだ。

この情報が正しければ、インテルは将来のMacBook Air、iPad Air、iPad Pro向けにM6またはM7チップを製造供給する可能性がある。ただし、過去のインテル製Mac向けチップはインテルが設計しx86アーキテクチャを用いていたのに対し、Mシリーズはアップル独自設計のArmアーキテクチャであり、インテルはあくまで製造のみを担うことになる。

一方、TSMCは引き続きMシリーズチップ供給の大部分を担う見込みである。Kuo氏は、アップルが最下位Mシリーズチップの製造をインテルに任せることで、トランプ政権が求める「Made in USA」製品への要望に応えると同時に、アップル自身のサプライチェーン多様化にも寄与すると指摘している。

また、インテルがAppleシリコンの製造を受託する可能性は、数か月前にも別のアナリストが言及していた。当時は18Aの後継プロセスである「14A」も候補とされていたが、製造コスト、歩留まり、量産スケジュール(18Aは2025年末、14Aは2027年にリスク生産開始予定)などを踏まえると、18Aが選択される可能性が高いとみられている。

Mシリーズチップは依然として業界トップレベルの電力効率を誇っており、アップル幹部も15インチMacBook Airはバッテリー持続時間と性能のバランスからインテル設計チップでは無理と示唆していた。x86アーキテクチャの純インテル製チップがMacに復帰する可能性は、ゼロに近そうだ。

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