どんなクルマに採用されるのだろう?

自動車用の静電スピーカーシステム、厚さ1mmで「最大10倍のサウンドステージ」構築

Munenori Taniguchi

Image:Warwick Acoustics

実売600万円超えの超高級ヘッドホンで知られるWarwick Acousticsが、独自の静電スピーカーシステムを採用したカーオーディオシステムを開発、発表した。

Warwick Acousticsの静電型スピーカーシステムは、極薄の帯電振動板を電極として機能する2枚のハニカム型金属板で挟み込んだ格好になっている。この電極に音声信号を流すことで、変化する静電場が生じ、振動板が前後に押し引きされ、音波を発生するというからくりだ。

同社の説明によれば、「静電型スピーカーの音は最初は平坦な音に聞こえるが、次第に遠く(場合によっては最大30mぐらいの)場所から音が聞こえてくるように感じられ、車内空間の物理的な大きさよりもはるかに大きな空間を体感できる」とのことだ。

一般的なスピーカーは円錐型の振動板にボイスコイルを組み合わせた立体的な構造をしているが、静電型スピーカーシステムは(ハウジングを考慮しなければ)厚さわずか1mmで構成することが可能なうえ、重量面では従来のスピーカーに比べて90%も軽量化できるため、カーオーディオとして設置する場所をより柔軟に選ぶことができる。Warwick Acousticsは、自動車のピラー部分やシートのヘッドレスト、ダッシュボード前面にこのスピーカーを貼り付けるように搭載するレイアウトを画像で紹介している。

Image:Warwick Acoustics

また、同社最高商務責任者(CCO)のイアン・ハバード氏によると「静電型スピーカーには、そのスピードと精度により、デジタル技術を用いた音の操作の必要性を軽減し、DSPコンポーネントを小型化しコストと消費電力を削減できる可能性がある」とも述べている。

Warwick Acousticsによると、この車載用静電スピーカーシステムは、世界的な高級車メーカーが2026年に発表するモデルに搭載予定であり、まもなく量産を開始するとのことだ。

Image:Warwick Acoustics

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