フリープランでも利用できます

ChatGPTが“買い物”をお手伝い。価格比較もできる新機能「ショッピングリサーチ」を試してみた

山本 敦

OpenAIのChatGPTに追加された新機能「ショッピングリサーチ」を試した

OpenAIが提供する大規模言語モデル(LLM)のChatGPTに、ユーザーのウェブショッピングを効率よく支援する新機能の「ショッピングリサーチ」が11月25日に加わった。

この機能は、フリープランからProプランまで、すべてのログイン済みChatGPTユーザー向けに順次、モバイルとWebアプリの両方で提供される。筆者のChatGPT Plusアカウントでも本機能が使える状態になっていたので、さっそく試した。

「ショッピングリサーチ」

ChatGPTがさらに丁寧な買い物ガイドを提案してくれる

ショッピングリサーチは、ユーザーの買い物を支援するChatGPTの新機能だ。ユーザーはいつものようにテキストプロンプトを書いて、自分が買いたいアイテムに関連する「ほしい機能」「購入予算」「ブランド」「スタイル」などの条件を伝えると、ChatGPTがインターネット上を深くリサーチして、グラフ等を組み込んだ詳細な回答を返してくれる。

Open AIのガイダンスによると「買い物の質問をすると、ChatGPTが自動的にショッピングリサーチを提案してくれる」そうだが、筆者の環境では、iOSアプリ版とWebアプリ版の自動で提案されなかった。その場合、テキストプロンプトを入力するボックスの左側にある「+」メニューから、「ショッピングリサーチ」を選択する方法で機能を利用できる。

検索を開始する前に「ショッピングリサーチ」をオンにする

「SnapdragonのSoCをのせたCopilot+ PCが欲しいです。予算は20万円以内。メーカーは問いませんが、Microsoft 365をバンドルした商品が希望です」というリクエストをChatGPTに投げた。

ショッピングリサーチをオンにしなくても、ChatGPTは3機種の候補を挙げて、それぞれ丁寧に “推しの理由” を解説してくれた。情報源であるメーカーの公式サイトへのリンクも付いている。検索にかかった「思考時間」は1分29秒だった。

通常のChatGPT検索でもショッピングに役立つ情報を盛りだくさんで教えてくれる

ショッピングリサーチをオンにして検索を開始すると、最初にユーザーがプロンプトに入力した検索条件のほかに、例えば「インチサイズ」や「PCの主な用途」「外出時に重視する特徴」など、追加の質問を聞いてくる。さらに画像付きの選択肢がいくつか提案されるので、直感的に「好き」「嫌い」を応答する。こうしてユーザーとのインタラクションを深めていくことで、検索結果をより研ぎ澄ましているのだろう。

ショッピングリサーチを使った結果、ChatGPTは筆者の希望に応える6つの製品をレコメンドしてくれた。検索結果の「総評」のようなコメントから、各製品の「比較表」だったり、実際買い求める際の「注意点・トレードオフ」、そして「最も確実でバランスの良い選択肢」など、読み応えのある買い物ガイドを出力してくれる。

正直、ライターである筆者にとっては冷や汗ものの、丁寧でよくできた解説だ。回答の生成まで22分を要したが、内容にはそれだけの深みもある。筆者が今回、検索を行った環境条件も回答生成の時間に影響しているのだと思う。

ショッピングリサーチをオンにすると、検索開始後まもなく候補としていくつかの商品が提示される。好みをフィードバックすると検索精度がさらに高まる
欲しい製品に対して重視する使い勝手や特徴について、アンケート形式のフィードバックを返答する

ショッピングリサーチのバックヤードでは、ユーザーのショッピングに関わるタスクに特化した強化学習を重ねた「GPT-5 mini」のカスタムバージョンが動いているという。検索を行う際には信頼できるサイトを読み込み、信頼できる情報源を引用し、多くの情報源からの情報を統合して質の高い商品リサーチを生成する。

買い物情報は日々、刻々とアップデートされるものだ。そこもできる限りリアルタイムでリサーチを更新・改善できる、インタラクティブな体験の創出を目指すとOpen AIは宣言している。

ECサイトへのリンク機能も拡充予定

なお、筆者も自分のChatGPTアカウントから「メモリ機能」をオンにして、ChatGPTが自分にパーソナライズドされた回答を返してくれるようにチューニングしている。この機能をオンにしてショッピングリサーチを重ねていくと、よりユーザーが欲しいものに対して精度の高い回答が得られるようになるそうだ。

チャート形式の比較表も出力してくれた。将来はChatGPTから各ECサイトに移動して、商品を購入できる動線も拡大しそうだ

ユーザーがChatGPTの回答結果から、小売店の販売サイトに直接飛んだり、将来的には対応している地域において「Instant Checkout(インスタントチェックアウト)」に参加している加盟店であれば、ChatGPTを通じて直接購入できる機能も追加するとOpen AIは発表している。

なお、ユーザーがChatGPTを使ってショッピングリサーチを行った情報が小売店に共有されることはないという。ChatGPTはショップの商品ページを直接読み込み、情報源を引用するものの、低品質やスパムのようなサイトは回避する。

ショッピングリサーチを動かすモデルは、OpenAIの内部評価において、ウェブ上にある商品の詳細を正確に引用する能力を有しているというが、「完璧ではない」とも伝えられている。つまり、価格や在庫状況などの商品の詳細について間違いを犯す可能性があることから、検索結果については逐次小売店のサイトを確認することも推奨されている。

自らショップに足を運び、実物の商品に触れて比較検討を重ねることもショッピングの醍醐味だと筆者は思う。ウェブで商品を探す際も同様だ。各方面のレビューも参考にする。だが、ChatGPTに対して気ままに条件を伝えて、買い物のための下調べができるショッピングリサーチも有用だと筆者は感じる。

自身があまりよく知らないカテゴリーの商品についても、ChatGPTは面倒がらず親切にイチから解説してくれる。ショッピングリサーチで事前に勉強してからショップに足を運べば、本当にお得な製品を品定めしやすくなるかもしれない。これから訪れるクリスマスや年末年始のホリデーシーズンにもぜひ役立てたい。

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