トランプ政権が続くうちはCEO交代は非現実的

クックCEO、2026年に退任せずか。「時期尚早」とBloomberg報道

多根清史

Image:Ringo Chiu/Shutterstock.com

アップルのティム・クックCEOに代わる後継者選びは進行中であるものの、クック氏が2026年内に引退するという報道は誤りであるとBloombergが伝えている。

同社の内情に詳しいMark Gurman記者は、ニュースレター「Power On」最新号にて、英Financial Timesが「2026年初頭から6月までの間に、クック氏がハードウェア担当上級副社長ジョン・ターナス氏と交代する」と主張した件について、これは時期尚早であり誤っていると指摘した。

クック氏が65歳で、シリコンバレーで最も長くCEOを務めている人物のひとりであることは事実である。また、アップルが何年も前から後継者計画を進めており、その中心にターナス氏がいると報じたのもGurman氏である。ターナス氏はアップル幹部の中で最年少であり、新デバイス開発を担うハードウェア部門を統括していることから、社内評価も高いとされている。

しかしGurman氏によれば、クック氏が2026年初頭から6月の間に退任する可能性は非常に低いという。クック氏はスティーブ・ジョブズ氏の死後にアップルを成功へ導き、株主や取締役と良好な関係を築いてきた経緯から、自身で退任時期を決める権利を事実上持っているとみられている。

さらに社内では、クック氏がCEOとしての仕事を心から愛しており、たとえCEO職を退いたとしても会長に残る可能性が高いとも語られている。特にクック氏は米国大統領交代期における重要な役割を担ってきた人物であり、現在は米政府との関係が複雑なため、少なくともトランプ大統領の任期が終わる2029年1月まではCEOを続けるという憶測もある。

実際、クック氏は米政権と良好な関係を維持するために努力しており、トランプ大統領へ24金台座のガラス製ディスクを贈るなど、細やかな気配りを見せている。こうした役割を後任者が突然引き継ぐことは現実的ではないだろう。

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