アップルの求める性能水準を満たせず
iPhone 17 Proのディスプレイ供給、中国BOEが脱落。韓国メーカー依存が続く

アップルは、中国サプライヤーのBOEが量産前に信頼性の問題を解決できなかったため、iPhone 17 Pro向け有機ELパネルの割り当て分をサムスンに再配分したと報じられている。
韓国メディアZDNet Koreaによれば、BOEは2025年第3四半期初めに量産承認を受けた後、中国市場向けに最大1000万枚のiPhone 17 Pro用有機ELパネルを供給する計画を進めていた。しかし、パネルの信頼性、歩留まり、性能に関する技術的な問題が解決せず、アップルが求めるLTPO性能基準を満たせなかったため、プロジェクトは停滞したという。
ここでいうLTPOとは、Low Temperature Polycrystalline Oxide(低温多結晶酸化物)の略で、有機ELディスプレイ技術の一種である。この技術の利点は、リフレッシュレートを動的に調整できる点にある。たとえば静止画ではリフレッシュレートを1Hzまで下げて省電力化し、動画やゲームでは120Hzまで高めて滑らかな表示を実現する。
アップル製品において、LTPOはiPad Proにおける「ProMotion」技術として採用され、2021年以降のiPhone Proモデルにも搭載されてきた。そして今年のiPhone 17シリーズでは、標準モデルにも採用が広がっている。
BOEはこれまでアップルにLTPOパネルを供給した実績がなく、今年中に少なくとも4000万枚の供給を目指していたとされる。しかし現状ではその達成は極めて難しくなった。BOEは11月中旬までに技術的問題を解決したとされるが、その時点ではすでにアップルの調達計画は変更されており、手遅れだったという。
このBOEの供給計画が消えたことで、その分をサムスンディスプレイが引き継ぐ見通しである。当初8000万枚と予測されていたサムスンのパネル供給量は、今回の再配分により9000万枚前後に増加すると見られている。
アップル製品では、iPad Pro、iPhone、Apple WatchなどでLTPO技術がすでに幅広く利用されている。こうした状況下で今回の動きは、iPhone向け有機ELパネル市場における韓国メーカー(サムスンディスプレイとLGディスプレイ)の立場をさらに強固なものにしたといえる。
アップルはサムスン依存のリスクを避けるためサプライチェーンの多様化を推進しており、近年ではBOEがiPhone 16向けにパネルを供給している。しかしこれはLTPS(Low Temperature Polycrystalline Silicon/低温多結晶シリコン)技術によるもので、リフレッシュレートは固定である。
- Source: ZDNET Korea
- via: MacRumors
