Mark Gurman記者は否定的

アップルのティム・クックCEO、退任は「早ければ来年」との報道

多根清史

Image:John Gress Media Inc/Shutterstock.com

アップルはティム・クックCEOの退任に向けた準備を「早ければ来年中」に進めていると、英Financial Timesが報じている。

同報道によれば、取締役会や上級幹部はクック氏からのリーダーシップ移行に向けた計画を強化しているという。後継候補として有力視されているのは、ハードウェア担当上級副社長ジョン・ターナス氏である。ただし「最終決定はなされていない」とも付け加えられている。

ターナス氏は2001年にアップルへ入社し、2013年にハードウェアエンジニアリング副社長へ昇進。AirPods・Mac・iPadハードウェア開発を統括し、2020年にはiPhoneのハードウェア開発をダン・リッチオ氏から継承。2021年から現職として、Apple Watchを含む主要製品のハードウェア全般を率いている。

また、Appleシリコン(独自開発チップ)への移行を主導し、Macの大規模な技術転換を牽引した人物でもある。まだ50歳と比較的若く、長期的なCEO在任が期待できると見られている。

なお、FT報道ではアップルがなぜCEO交代を加速させているかについては触れられていない。しかし、この動きは業績とは関係がないと述べている。2025年の年末商戦を含む1月下旬の次回決算発表前に新CEOが指名される可能性は低いとされる。

実際、アップルは9月期に過去最高の売上を記録し、12月期も史上最高の四半期になる見込みで、株価も最高水準に近い。したがって、CEO交代が業績悪化に伴うものとは考えにくい。

今回の報道は、かつて後継者と目されていたジェフ・ウィリアムズ元COOが退職した数時間後に出てきたものでもある。今年初め、ウィリアムズ氏はオペレーション部門をサビフ・カーン氏に引き継ぎ、残りの職務はターナス氏を含む他の幹部に再配分されている。

なお、アップル内部に精通するBloombergのMark Gurman記者は、FT報道に一部異論を唱えている。ターナス氏が有力候補である点には同意しつつも、「差し迫った動きは感じられない」とのことだ。

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