マスクCEOが個人的な感情を封印?

ついにテスラがCarPlay解禁へ? 売上不振をテコ入れか

多根清史

Image:RoClickMag/Shutterstock.com

米テスラは、自社車両にアップルのCarPlayを統合する計画を進めており、すでに社内テストを開始しているとBloombergが報じている。

テスラ車両は、車体の制御、ナビゲーション、音楽、ウェブブラウジングなどを統合した独自のインフォテインメントシステムを搭載している。自動車メーカーとしては珍しく、これまでCarPlayの導入を見送ってきた。一方で、車載ディスプレイにiPhoneの機能を最適化して表示するCarPlayは、多くのドライバーにとって欠かせない機能となっている。

しかしテスラは、この方針を突然転換し、強く要望されてきたCarPlay対応を進めているという。事情に詳しい複数の人物によれば、同社は「今後数か月のうち」に導入を検討しているものの、リリース計画はまだ確定しておらず、より遅れる可能性もあるとされる。

もっとも、テスラはCarPlayを車のインターフェース全体に置き換えるのではなく、既存のUI内のウィンドウに表示する形で統合する見込みだと伝えられている。また、ワイヤレス接続には対応するものの、今年初めに展開が始まった次世代のCarPlay Ultraではなく、標準的なワイヤレスCarPlayになる模様である。

こうした動きの背景には、テスラの販売減少を受け、CarPlay対応を重視する消費者の需要に応えたい狙いがあるとみられる。新車購入希望者の中には、CarPlay非対応を理由にテスラ車を選ばないケースが存在すると指摘されている。

同社のイーロン・マスクCEOは、アップルがiOS等にChatGPTを統合することに強く抗議し、アップル製品を社内で使用禁止にすると発言したこともある。とはいえ、マスク氏の振るまいが最近の売上不振の一因との見方もあり、個人的な感情を封じてでも方針転換を図るのかもしれない。

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