テスラの全身タイツマンよりは潔かったかも
ロシア企業がヒト型ロボットを発表するも、ステージ上で「顔面ズサー」を披露してしまう

モスクワで開催されたテクノロジーカンファレンスの場で発表されたロシア企業Aidolのヒューマノイド・ロボットは、テスラのOptimusや先日発表された中国XpengのIRONのように世界の注目を浴び、喝采を受けるはずだった。
しかし、その足取りはまるで泥酔した人のようにおぼつかず、平衡が維持できないのか、だんだんと重心が左に偏り、顔面からステージに倒れ込んでしまう大失態を演じた。
別の意味で世界の注目を浴びることとなったこのヒューマノイドは、転倒の衝撃で周辺に外装部品を飛散させ、どうみても自力で起き上がることは不可能そうに見えた。ロボットが転倒するとすぐに係員は黒幕でロボットを隠そうとしたが、その幕で覆われる前に、このヒューマノイドは従業員にステージから引きずられて退出していった。
Aidolは中東ドバイを拠点とするロシアのロボットベンチャーで、CEOのウラジミール・ヴィトゥキン氏は、LinkedInでこの失態を「リアルタイムトレーニングセッション」と表現し「成功した失敗は知識に、失敗した失敗は経験に変わる」と述べた。
また別の投稿では、何もしないよりは試して失敗する方が良いと主張。「次のバージョンはもっと良くなる!」と宣言している。
ただ、願わくば華々しい発表の場までには、まともに歩けるようにはしておくべきだった。ただステージ上で歩くだけならば、たとえばホンダのASIMOは10年以上前にこれを達成している。
Aidolのウェブサイトを参照すれば、少なくともステージ上よりは多様なことができそうな感じの映像が背景に流れる。ただ、その動きはどれをみてもややからくり人形っぽく、業界の他のヒューマノイド製品のパフォーマンスレベルに比較すると、少々遅れているようにも見えてしまう。
他社のヒューマノイドにない特徴を紹介しておくと、Aidolのヒューマノイドはリアルな顔を持っており、12の基本的感情と数百種類の微妙な表情を再現できるとのこと。実用面ではあまり役に立たないかもしれないが、「不気味の谷」がどんなものかを身をもって知りたい人には効果的だろう。その他、このヒューマノイドは最大6時間の駆動時間を備え、(転倒さえしなければ)最高時速6kmで早歩きできるという。
また、胸像のように上半身と頭部だけの「デスクトップ版」もあり、ユーザーの話し相手になれると説明されている。一瞬、ゲーム『Death Stranding 2』に登場する「チャーリー」と呼ばれるマネキンのキャラクターとイメージがダブりそうになるが、用途としてはAIアシスタント搭載のスマートスピーカーに顔がついたようなものなのかもしれない。
最近はヒューマノイド・ロボットが数多く発表され、一部では数量限定で早期バージョンの予約受付を開始しているものもある。ただし実感としては、まだまだヒューマノイドが家庭で何かを手伝ってくれるレベルには至っていないように見受けられる。少なくともいまは、派手な謳い文句には眉に唾をつけて聞いておくのが良さそうだ。
ちなみに、最近の子供たちは転倒した際にうまく手をつくことができず、顔面を強打してしまうことが昔より多くなったと言われている。一説には、赤ん坊のときにベビーサークルなどに入れられることが多くなり、ハイハイで動き回る機会が減った結果、腕が十分に鍛えられないことが原因だとか。
ヒューマノイドも、家庭で使用するようになれば誰かにぶつかって転倒する可能性も増えるだろう。普及期に入るまでには、もしものときに瞬時に床に腕をつき、転倒による破損を免れる機能の実装が必要かもしれない。
- Source: PCMag
