親子は世界最速のドローンも作りました
「バッテリーなしで飛ぶドローン」その仕組みは…見たまんま

南アフリカ・ケープタウンの航空カメラマンルーク・ベル氏は昨年、父親であるマイク・ベル氏とともに世界最速のドローンを超える超高速ドローンを独自に開発し、約480km/hをたたき出してギネス世界記録に認定された。
その後、この記録はスイス・フリブール大学の学生らが557.64km/hという記録を打ち立てて破られたものの、ベル親子は改良したドローンを製作し、585km/hというとてつもない速度で王座を奪還した。
そして、速度への挑戦が一段落したところで、ベル親子は新たな挑戦に乗り出した。それは、バッテリーなしに日光があたる限り飛び続けられるドローンを開発することだ。
バッテリーによる蓄電ができないため、ドローンに搭載される太陽電池にはすべてのローターを回し続けるだけの電力を安定供給する能力が求められる。
電力消費を抑えるためには徹底した軽量化が必要であるため、新たに開発したドローンはカーボンファイバー製の管をX字に組み合わせたフレームに、重量70gのT-MOTOR Antigravityモーターを4つ搭載し、それぞれにカーボンファイバー製のローターと、これらを制御するコントローラーユニットを、3Dプリントしたマウントなどを使って組み上げた。このドローンにはPOV(一人称視点)の映像をヘッドセットに送るための小型カメラなども搭載された。
肝心要となる太陽電池は、軽量である代わりに壊れやすく、テスト中に数枚が破損し、一部はベル氏らが飼っているネコの爪によって再起不能させられた。だが、残る約27枚のパネルを直列接続することで、ガレージにおけるテストでは約150Wの出力を得ることができた。
この太陽電池は、直径3mmのカーボンファイバー管を格子状に組んだフレームに固定され、それを上記のX字フレームにボルト留めして、ドローンの構造が完成した。
青空の拡がる草原で行われた飛行試験は、慎重に車の荷台から下ろされたペラッペラのドローンが、4つのローターによってふんわりと中に浮かぶ様子が動画で撮影され、YouTubeに公開された。

それは世界最速のドローンとは対極にあるドローンと言うことができるかもしれない。バッテリーレスのドローンは、雲ひとつない空にある太陽からの光をその場で電力に変え、そしてローターを回転させて、浮力を得て中に舞い上がった。まさにエネルギーの地産地消だ。
このようなドローンが、何らかの用途のために実用化される可能性は低いかもしれないが、実験プロジェクトとしては十分に興味深い。そして、いったん確立した技術は、いまは使い道がなくとも、いつかどこかで応用したり活用したりする機会があるかもしれない。もちろん、ベル親子の今後のドローンの改良にも期待しておきたいところだ。
ちなみに、日のある限り飛び続けられるドローンといえば、シンガポール国立大学のチームが2018年に開発したものがある。ただし、このドローンには夜間の飛行も考慮してバッテリーが搭載されていた。また、使用された太陽電池もベル親子のドローンに比べ数倍ほどの大きさがあった。
- Source: Luke Maximo Bell(YouTube)
- via: New Atlas
