発売を記念したイベント開催

Nature、EV充電を可視化する“スマートEV充電コントローラー”「Nature EV Switch」

編集部:平山洸太

「Nature EV Switch」(ブラック)

Natureは、電気自動車の充電用コンセントをIoT化するスマートEV充電コントローラー「Nature EV Switch」を10月31日から販売開始する。正規取扱企業やパートナー企業を通じての提供となり、個人向けの直接販売は「今後の状況を踏まえて検討」するという。カラーはブラックとホワイトの2色。

分電盤とEV充電用コンセントの間に設置することで、充電状況のモニタリング、遠隔操作、タイマーや天気予報に応じたEV充電の最適化ができるデバイス。家庭のEV充電における、充電状況のわかりにくさ、契約する料金プランや太陽光発電の効率的利用の難しさ、ブレーカー落ちのリスクなどのた課題に対応するために開発したとしている。

「Nature EV Switch」(ブラック)

EV充電の可視化においては、スマートフォンアプリ「Nature Home」から、リアルタイムの充電ステータス(充電中/待機中/停止)や充電経過時間、充電量(kWh)を把握できる。日/週/月/年ごとに、EV充電に要した電力消費量や電気料金の目安が確認可能。

充電状況をアプリで確認できる
電力状況をアプリで確認可能

また、EVに充電ケーブルをあらかじめ挿しておくことで、アプリを使って外部から充電の開始/停止が行える。タイマー機能により、充電の開始/停止を設定しておくことも可能。「晴れのときのみ有効」をオンにしておくことで、タイマー設定した時間のうち天気予報が晴れの時間帯に自動で充電開始できる機能も備える。

充電をタイマーで管理できる
イベントでは実際にEVを充電する展示も

同社の住宅用エネルギーマネジメントデバイス「Nature Remo E」との連携機能も搭載。契約容量を超えるおそれがある場合に、自動で充電開始時間の調整や充電停止を行う「ブレーカー落ち防止機能」が利用できる。さらに「売電が発生したら有効」をオンにすることで、太陽光発電の余剰電力に応じて自動充電(タイマー設定した時間内で発動)し、充電にかかる買電を抑えられる。

「Nature Remo E」

本機の設置には、電気工事および外壁もしくは外構工事が必要。外壁工事の場合、壁穴開けによる埋込設置または露出ボックスを活用した取り付けに対応する。外構工事では屋外電源コンセント支柱に設置できる。また利用時には、別売りのEV充電用コンセント(200V)およびケーブル側に電力の制御装置が搭載されている充電ケーブル(Mode2)が必要。内蔵の4G LTE通信でデータをクラウドに送信するため、Wi-Fiとの接続は不要となっている(通信料は無料)。

なお、本体の左側には「CHARGE」ボタンが備わっており、アプリだけでなく手動での充電スタートが可能。またカバーを取り外すと「A」「B」と書かれた2種類のボタンが用意されており、アプリを使わなくてもファームウェアアップデートなどの操作が行えるようになっている。

「CHARGE」ボタンを側面に搭載
カバーを取り外した状態

本製品は東京都の「【令和7年度】戸建住宅向け充電設備普及促進事業」における「外付け通信機器」に該当するとしている。東京都に在住のユーザーであれば、申請の上、要件を満たした場合に機器代全額が助成対象になるという。

ハードウェアをより強化、蓄電池やスマートロックも

発売を記念し、横浜で関係者向けのイベントが開催。Nature株式会社 代表取締役 塩出晴海氏が登壇し、新製品と今後の展望について語った。

Nature株式会社 代表取締役 塩出晴海氏

2015年に創業したNatureは、「自然との共生をドライブする」をミッションに約10年間活動してきたという。そして中期(3〜5年)のミッションとして、「総合的なスマートホームの体験を提供し、快適でサステイナブルな暮らしを実現する」を掲げている。

「家はいろいろなものが混在していて、いろいろなものを使い分けないと制御ができない。それがすごく使いにくいということを日々感じている」と塩出氏。「家のインターフェースを統合して、ユーザーに最適な体験を提供するだけでなく、それがサステイナブルな生活に繋がる」と話し、この統合のために以下の3つの柱を強化していくという。

その3つの柱は、「ハードウェアの拡充」「Nature Home OS 構築」「DRサービスの拡充」であるとのこと。塩出氏は「ハードウェアが普及していないとサービスが提供できない」と述べており、まずはハードウェアの投入が最優先だとしている。

ハードウェアでは、エネルギーマネジメント機器として住宅用の「Nature Remo E」をすでに提供しているが、ここに「Nature EV Switch」が加わることになる。今後は蓄電池、V2H、新たなエネルギー機器といった拡充も見据える。また、住宅内のホームオートメーションではスマートリモコンを提供しているが、現在スマートロックも開発しているとのこと。

今後のハードウェア展開イメージ

続いてNature Home OSでは、現在50万台くらいの機器が稼働しており、2人以上で使っているユーザーが多いことから、ユーザーとしては100万人ほどになるという。塩出氏は「ユーザーが何も考えなくても使えるのが理想形」だと話しており、電力の市場価格に合わせたエアコン制御、余剰電力を効率利用する自動制御などに取り組んでいる。

Nature Home OSの構築

最後は、消費者が電力使用量を制御することで電力需要パターンを変化させる「DR(ディマンド・リスポンス)」の支援。上述した2つの要素を強化していくことで、それらが電力の調整力として活用されることが「狙いであり今取り組んでいるところ」(塩出氏)だという。

EVは電力消費が大きいことから、家庭の電力消費に与える影響は大きい。一方で、EVの販売台数はまだ20万台程度であることから、「販売台数が劇的に伸びていく余地が大きい」と塩出氏は分析する。

Nature EV Switchにより、EVコンセントに新たなソリューションが加わる

家庭でEVを充電するには専用充電器を導入する必要があるが、100万円以上する双方向の充電器(V2H)、20〜30万円の普通充電器、5000円くらいのEVコンセントに大きく分かれるという。大半が安価なEVコンセントを選んでいることから、「このEVコンセントを安価でリーズナブルにスマートにできるデバイス」に成長余地があり、今回のNature EV Switchの投入に繋がったとした。

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