最新モデル「Plaud Note Pro」を試した
AI文字起こしツール「Plaud」初使用の感想。“ライターの新しい相棒”になるか?

AI文字起こしツールは文明の利器だ。もはやライターとしての筆者の仕事には欠かせない。
今までGoogle Pixelシリーズの「レコーダー」アプリを中心に使ってきたが、この秋にAI系スタートアップのPlaud(プラウド)が発売した「Plaud Note Pro」を試す機会を得た。
Plaud Note Proは、名刺サイズの可搬性にも優れるカード型AIボイスレコーダーだ。価格は30,800円(税込)。同社初のプロダクトである「Plaud Note」を強化した上位モデルに位置付けられる。
月間300分まで無料で文字起こし。Google Pixelとの違いは?
PlaudのAI文字起こしツールは、英語・日本語を含む音声認識の精度が高いことから、先に使用していたライター仲間の評判がとても良かった。
核となる独自のクラウドAIプラットフォームであるPlaud Intelligenceは、OpenAIにAnthropic、Googleによる最新の大規模言語モデルにより構成されている。音声認識と文字起こし、アプリ内でのQ&Aやマインドマップ作成機能などが充実する。

文字起こしのサービスは基本有償だが、月間300分までは無料の「スタータープラン」もある。無料ぶんを使い切ると、以降は600分の追加パッケージを2,000円(税込)で購入したり、年額4万円の無制限(Unlimited)プランまで、ユーザーが求める量に合わせたパッケージが用意されている。
無料プラン内でも1時間の会議を5回ぶんほどテキストに起こせるが、筆者はすぐに使い果たしてしまった。なお、本体の64GBストレージに収まる限り、音声録音だけなら無料で行える。
これまで筆者が使ってきたGoogle Pixelシリーズのレコーダーアプリは、端末を購入すれば無料で利用できる。録音した音声ファイルは端末のローカルストレージに保存されるため、容量が逼迫してきた場合は、必要なファイルを整理したりバックアップを取ったりする必要がある。それでも、ランニングコストを気にせず使い続けられる点は魅力だ。
このレコーダーアプリは、近年では英語に加え、日本語の音声認識と文字起こしの精度も大きく向上し、ビジネス用途にも十分対応できるレベルに達している。さらに、文字起こししたテキストはレコーダーアプリから直接NotebookLMのアプリへ共有でき、翻訳やレポート作成といった作業までPixel端末上で完結できるようになった。

ファイルの整理整頓がかんたん
Plaud Note Proの専用アプリであるPlaud AIは、録音ファイルの整理整頓がしやすいユーザーインターフェースが魅力だ。音声を文字に起こすだけでなく、要約の質も高い。会話の内容に則したファイルのタイトルも自動で付けてくれるので、過去に録音、文字に起こしたファイルもすぐに見つけられる。

文字に起こした内容について、AIチャット形式で「質問してみる」機能も優秀だ。長時間のインタビュー取材は、文字に起こしたデータさえも後から参照するのが面倒になりがちだが、Plaudは取材の記録に効率よくたどり着くための機能が揃っていた。文字起こしの内容をテキスト形式で書き出せば、NotebookLMなどに放り込んで内容をさらに吟味することもできる。

Google Pixelとの差は、音声からテキスト化されるデータをアプリ上で即座に確認できないところだ。この機能があると、インタビューの相手が直近で口にしたキーワードや数値を確認できるのでとても便利なのだが、Plaud AIがクラウドベースのサービスなので致し方ない。
ただ、Plaud AIが音声から文字を起こすスピードは速い。約30分間のミーティングの音声を約5分でテキスト化してくれた。精度も信頼が置ける。iPhoneのAI文字起こしツールとして、しばらくはPlaud Note Proを使ってみようと思う。
忘れたままの外出に注意
ある日、Plaud Note Proを自宅に忘れたまま、文字起こしツールを必要とする取材に出かけてしまったことがある。Plaud AIアプリによる録音と文字起こしは、電源が投入されたデバイスが近くにないと使えない。その日はGoogle Pixel単体で録音・文字起こしをした。
後日知ったことだが、iPhoneのボイスメモアプリで録音した会話を、Plaud AIアプリに読み込ませて文字に起こす方法があった。Plaud Note Proが手元にないと、本体に内蔵する高性能マイクやハイライト記録、通話録音などの機能が使えなくなるので、あくまで応急処置的な使い方であることを意識しながら使いたい。さもないと、デバイスを持ち歩くことが面倒になってしまいそうだ。
専用マグネットケースに入れて、iPhoneの背面にいつも貼り付けて持ち歩く習慣を身に着ければ万全のように思えるが、マグネットの吸着力が若干弱いためか、気が付くとPlaud Note Proがバッグの中で彷徨っていることがあった。筆者はデバイスを紛失したくないので、iPhoneから外して持ち歩くようにしている。四六時中身に着けられるウェアラブルタイプのPlaud NotePinの方が、紛失する心配は少ないと思う。

Plaud Note Proは本体に高性能マイクを内蔵しているが、PCやスマホから音声をライン入力する機能がない。対面形式のインタビューや会議の議事録には向いているが、周囲に多くの人がいて、PCやタブレットのスピーカーから音声を出力しながら、Plaud Note Proに聞かせることが難しい環境で使いづらい。Plaud Note Proに外部オーディオ入力を追加する外付けアクセサリーがほしい。
Plaudは2021年に設立されたばかりの若いスタートアップだ。独自のAI文字起こしツールがますます便利になることを期待している。
