ペダルを漕いで発電した電気でモーターを回す

モジュラー式電動アシスト自転車をEVメーカーRivianのスピンオフ企業が発表

Munenori Taniguchi

Image:ALSO

電動ピックアップトラックおよびSUVメーカーを主力商品とし、おそらくテスラの次に成功している米国の専業EVメーカーとして知られるRivianから、昨年スピンオフしたベンチャー企業ALSOが、「マイクロモビリティを再定義する」とうたう電動アシスト自転車「TM-B」を発表した。

この自転車の特徴は、機能をモジュールとして提供するモジュラー式であることだ。基本となるフレームは1種類のみだが、サドルシートは使用者ごとの体型に合わせて様々なサイズとスタイルのシートが用意されており、特別な工具なしで簡単に交換できる。シートにはユーザープロファイルを紐づけできる。プロファイルは1つのシートに複数登録できるが、シートごとに単独ユーザーとしてシートごと交換して使う運用も可能だ。

Image:ALSO

さらに、装着するオプションモジュールにはホイール、フェンダー、カラーバリエーションなどがあり、街乗りの通勤通学用からカーゴバイク、オフロード車まで印象だけでなく用途を大きく変えて使うことができる。なお、消耗品のタイヤは特殊なものではなく、オフロード仕様と一般的な仕様には別れるものの、市販の24インチ自転車用タイヤを使うことが可能だ。メインのフレーム中心部分にある四角い箱はコントロールユニットで、ここには電子制御装置、バッテリー、モーター、発電ユニットが収められている。

Image:ALSO

着脱可能なバッテリーユニットは最大60マイル(約96km)の走行を可能にする標準サイズと、最大100マイル(約160km)の走行を可能にする大型サイズの2種類を用意しており、取り外せばUSB-Cコネクターを持つ大型のモバイルバッテリーとしても使用できる。

また、ペダルは通常の自転車のようにギアでチェーン(この自転車はベルトドライブだが)を直接駆動するのではなく、回転トルクを内蔵の発電ユニットで電力に変え、その電力でバッテリーを充電しつつモーターを駆動させるようになっている。なお、この自転車はペダルを漕がずともバッテリーのみで走行できる(ため、もし日本で使う場合はおそらく原付バイクとみなされる)。バッテリーのみで加速した場合は時速20マイル(約32km/h)までしか速度は上がらないが、ペダリングを併用すれば最高で時速28マイル(約45km/h)まで加速できる。

ALSOによれば、このコントロールユニットは、内蔵される電子制御用コンピューターによってペダリング(およびブレーキからの回生)で生成される電力の量を正確に制御し、ベルトドライブを介して後輪に 送る電力量を調整する。通常モードなら、ペダルにかける力をリニアに速度に反映するが、オフロードモードではギアチェンジをシミュレートし、トルクをよりダイレクトに路面に伝えることができる。

TM-Bにはバッテリーが切れた際にライダーが立ち往生しないようにするため「Limpモード」も搭載されている。リンプモードに切り替われば場合、ペダルを漕いだときに発生する電力から、モーターを駆動するのに必要な分がベルトドライブ機構に供給され、充電可能な場所まで走り続けることができる。またブレーキには回生機能が含まれる。通常ならペダルを漕ぐのをやめればすぐに回生が効くため、ブレーキ操作を使う機会は通常の自転車よりも少ないかもしれない。

その他、ハンドル部分には5インチのタッチスクリーンディスプレイ「Portal」が搭載されており、RivianのEVさながら、とまでは行かなくとも、ナビゲーション、音楽再生、専用アプリによる通話機能などをサポートする。なお、この自転車には、駐輪時にフレームと後輪が自動ロックするセキュリティシステムも搭載している。

ALSOは、TM-Bの初期構成を3種類用意する計画で、その第1弾「TM-B Limited Launch Edition」は、来年の春に4500ドルで発売する予定だ。この構成は最大100マイル(約160km)の航続距離、スタンダードとスポーツの走行モードに対応し、透明な紫色のアクセントが特徴となる。また、2026年上半期中には、Limited Editionとほぼ同じでカラーが若干異なる「TM-B Performance」がやはり4500ドルで発売を予定している。なお、2026年下半期には最大60マイル(約97km)の航続距離とスタンダード走行モードのみを備えるTM-Bベースモデルの登場も予定されている。

いずれのエディションも、予約をALSOのウェブサイトで受け付けている(一部モデルは50ドルの予約金が必要)。

関連キーワード: