1つの光を捉えたとは言っていない
「空中を進む光を捉える」20億コマ/秒の映像を得るための特殊カメラ、YouTuberが製作

10月17日、YouTubeチャンネルAlphaPhoenixを運営するYouTuber ブライアン・ハイデット氏は、自宅ガレージ内に構築した超高速撮影カメラを用いて制作した、光が空中を進む様子を捉えた映像を公開した。
この超ハイスピードカメラシステムは、高出力レーザーを鏡に向けて照射し、反射した光をさらに相対する鏡で反射するようにしている。レーザー光は相対する鏡の間を往復しながら、最終的には壁に当たって消滅する。
レーザー光はただそれを照射しただけでは、横から空気中を移動する様子は見えない。しかし、室内に霧を充満させることで水粒子が光を散乱し、光の筋が空中に浮かび上がって映像に捉えられるようになる。これを20億コマ/秒で撮影すると、ビームは幻想的かつスローモーションで空中を進む光の筋のようになり、SF映画のワンシーンのような不思議な映像となる。
ただし、このような撮影を行うカメラシステムを市販の技術で構築するのは非常に難しい。ハイデット氏のシステムは、以前に彼が開発した10億コマ/秒の速度で撮影すべく開発したシステムの改良版だ。だが、このシステムには大きな欠点がある。それは一度に1ピクセルしか撮影できないことだ。
20億コマ毎秒の動画では、光は1コマあたり約6インチ(約15cm)を移動する、光る線のように見える。ハイデット氏はこれを光の照射ごとに大量に撮影し、そのデータを元に映像を再構成した。
要するにこのカメラシステムは、厳密には20億コマ/秒で光が移動する様子を撮影するビデオカメラではなく、細切れで撮影した大量の光の静止画像データを、後からコンピューターで並べ直す。そうすることで、20億コマ/秒で撮影したのと同等の映像に仕立て上げるシステムというわけだ。
とはいえ、今回の撮影に用いた機材もそれなりに高度なものだ。大量のデータから画像を再構築するにはかなり時間がかかるうえ、高い精度が不可欠となる。今回の結果を得るために、ハイデットは2024年に構築した10億コマ/秒のシステムを根本的に見直した。使用するモーターの動作精度を高め、さらに光学系にも手を加えて画像を鮮明化した。また、撮影データを処理するソフトウェアも高速動作できるようにアップデートしたという。
ハイデット氏は、純粋に20億コマ/秒で撮影するカメラを構築することも可能だと述べているが、それをするにはコストがかかりすぎると述べた。
- Source: AlphaPhoenix(YouTube)
- via: Engadget
