AI担当トップのジャナンドレア氏は目立った成果ナシ

“次世代Siri”に暗雲。アップル社内で「性能に懸念」か

多根清史

Image:Kaspars Grinvalds/Shutterstock.com

アップルは2026年初頭、iOS 26.4とともに新たなAIを搭載したSiriを発表する見通しである。このリニューアル版は当初より1年以上延期されてきたが、現在社内でテスト中のバージョンに対してエンジニアから懸念の声が上がっていると報じられている。

刷新版のSiriは、ユーザーの個人コンテキストの理解や画面上の状況認識、アプリごとのきめ細かな操作が可能になるとみられている。どのようなメールが届いているか、どのアプリが動作しているかを把握し、希望にかなう操作を代わって行うという、ユーザーに寄り添った「パーソナライズ」を基盤とした設計だ。

しかし、BloombergのMark Gurman記者によると、アップル社内のテスターからは「期待したほどの性能が出ていない」との声が出ているという。この問題が長引くなかで、アップルはサードパーティ製の大規模言語モデルの導入を検討し始めており、それ以降AI人材の流出が加速しているとも報じられている。

もともとSiriの刷新はiOS 18.4〜18.5で予定されていたが、品質基準を満たせず約1年延期された経緯がある。現在、アップル社内では2つの開発チームが並行して作業を進めているとされており、1つは自社モデルをオンデバイスで動作させる「Linnwood」、もう1つはGoogleのGeminiをPrivate Cloud Compute(ユーザーのプライバシーを最大限に保護したアップル独自クラウド)上で動かす「Glenwood」である。

両者は現在「ベイクオフ(比較試験)」の段階にあるというが、iOS 26.4の初期バージョンにはアップル独自のオンデバイスモデルが採用される可能性が高い。もし自社AIの完成度が十分でなければ、最終的にGeminiへの依存を迫られることになる。その場合、AI部門トップであるジョン・ジャナンドレア氏の去就が注目されるだろう。

ジャナンドレア氏は2018年にAI担当上級副社長に就任したが、目立った成果を上げられず、職務範囲は徐々に縮小している。Siri部門はソフトウェアグループに移され、ロボット工学チームはハードウェアエンジニアリング担当のジョン・ターナス氏に引き継がれている

関連キーワード: