ユーザー名変更回数、直近の変更時期も確認可能に?

X、“より詳しい”ユーザー情報の公開を検討中。理由は「ボットが人間らしく振る舞うようになったため」

Munenori Taniguchi

Image:GagoDesign/Shutterstock.com

Xは、ユーザーアカウントがボットでなく本物の人間であることを確認しやすくするため、ユーザーのアカウント作成日、所在地(国名)、ユーザー名の変更回数、Xのサービス利用状況といった詳細プロフィール情報を公開する機能を開発し、テストする予定だ。

Xの製品責任者ニキータ・ビア氏はこの試みを紹介するXへの投稿で、「世界で起こっている重要な問題を把握するため」「Xでコンテンツを読む際は、その真偽を確認できる必要がある」と述べ、来週から社内の一部メンバーを対象にこの機能をテストしてフィードバックを検討、さらにその後広範囲に展開する予定だと述べた。

https://twitter.com/nikitabier/status/1978132382868988310

Xコンテンツに嘘情報が増加したのは、Twitterを買収しXに名称変更したイーロン・マスク氏が言うところの「言論の自由」を推し進めた結果ではないかという気もする。だがいまやXだけでなく、世界的に “誤情報陰謀論どんと来い” 的な風潮が高まっているようだ。

当然だが、自分で情報の真偽をきちんと見極めるべきであるのは間違いない。Xがユーザーのプロファイル情報の一部を公開することになれば、例えばアカウント情報とプロフィール情報で居住地が食い違っている場合は、そのアカウントは何らかの目的があってそうしているのではないかと疑うことができる。

また、Xアプリをダウンロードしたアプリストア情報が、その他のプロフィール情報に合致しないような場合も、もちろん同SNSを使い始めた後に移住した可能性は排除できないものの、ユーザー名の変更回数など他の情報と組み合わせて分析すれば、警戒すべきアカウントかどうかの判断材料にはなるかもしれない。

プロフィール情報にはプライバシーに関する事柄も含まれる可能性がある。ビア氏はユーザーがプライバシー情報を公開したくない場合は、オプトアウトすることで回避できると述べている。ただ、オプトアウトできるのなら、ほとんどのユーザーがオプトアウトしそうな気はする。なによりボットアカウントは間違いなくオプトアウトを選ぶだろう。ビア氏はその点に関し「オプトアウトを選んだ場合はプロフィール上でそのことが強調表示される可能性が高い」と指摘した(ただ、強調表示とプライバシー情報を天秤にかければ、プライバシーを守る方を重視する人のほうが多そうな気はする)。

ビア氏は、プロフィール情報から本来の所在地がわかった場合、SNS上での発言が違法となる地域もあることを指摘。プライバシーへの懸念も認め、発言が影響を与える可能性のある地域では、Xは特定の場所ではなく国名のみを表示する可能性があると述べている。

なお、今回のXの取り組みはユーザーがSNS上でどのような相手と交流しているかを把握しやすくするものだが、別にXだけの取り組みというわけでもない。Instagram責任者であるアダム・モセリ氏は、Instagramユーザーが他のユーザーのプロフィールを参照して同様の情報を得られることをBloombergのインタビューで述べていた。

ビア氏は10月13日のXへの投稿で、最近、170万の返信スパムボットアカウントを削除したと述べている。Xの今回の取り組みは、巧妙化するボットと生身のユーザーを見分ける助けになるという点では、ユーザーにとっては改善と言えるかもしれない。

ただ、スパマーやネット詐欺グループは往々にして、すぐに抜け道を見つけ出すものであり、Xの変更でどれほどの効果が得られるかはまだわからない。

関連キーワード: