まずは米国から、その後各国へ展開

SpotifyのビデオポッドキャストがNetflixで視聴可能に。2026年より開始

Munenori Taniguchi

Image:HelgaQ/Shutterstock.com

Spotifyが、同社のサービスで提供しているビデオポッドキャストを2026年よりNetflixでも視聴可能にすると発表した。これによりSpotifyは人気コンテンツをNetflixのユーザーにも届けることが可能になり、動画コンテンツの拡充・強化をさらに推し進めることになる。

発表によれば、まずはSpotify StudiosとThe Ringerによるスポーツ、カルチャー、ライフスタイル、犯罪ドキュメンタリーといったポッドキャスト番組のベストセレクションがNetflixで配信され、その後は順次他のスタジオやジャンルの番組が追加されていくという。

Spotifyは2022年、ポッドキャストを同プラットフォームの収益の柱に育てるべく、クリエイターが誰でもビデオポッドキャストを投稿可能にするためツール「Anchor」を世界180の国と地域に公開した。

さらに、今年1月からはポッドキャスターのホストが人気動画から報酬を得られるようにするパートナープログラムを開始、最近ではリスナーがアンケートに回答したり投票する機能、ポッドキャストエピソードへのコメント機能を追加した。

Spotifyは、特にZ世代への訴求力があるポッドキャスト番組に集積拡大のチャンスがあると考えている。また、2024年以降のビデオポッドキャストの再生は、音声のみのポッドキャスト再生の20倍の速さで増加していると、7月に発表した2025年第2四半期の収益報告で述べている。ユーザー数で言えば約3.5億人がSpotify上で動画コンテンツを視聴しており、これは前年比約65%の増加になるとのことだ。

一方Netflixは以前より、自社の動画サービスへのポッドキャスト機能の追加を検討してきたとされている。同社のこの取り組みは、他社のポッドキャスト担当幹部の注目を集めており、中にはNetflixが自分たちと同じような才能ある人材を惹きつけていると指摘する者もいるという。

またNetflixは、Netflix番組に出演するタレントにスポットライトを当てる「Skip Intro」や、Netflixのリアリティ番組を掘り下げる「We Have the Receipts」など、Netflix以外のサービスからユーザーを呼び込むためのビデオポッドキャストを同社のYouTubeチャンネル「Still Watching」で公開している。

今回発表されたNetflixでのSpotifyビデオポッドキャスト配信はまず米国で2026年初頭から開始され、その後は世界の各市場にも展開していく予定だ。ただ、SpotifyのビデオポッドキャストがNetflix上で視聴された場合の広告の取扱や、収益化に関する詳細がどのようになるのかなどは明らかにされていない。

ポッドキャストが従来の音声コンテンツからビデオポッドキャストへと人気が移行しているのは上に述べたとおりだが、それだけでなく、TikTokのようなショート動画サービスが台頭してきたことで、視聴者の奪い合いが激しくなっている。従来のポッドキャストは広告販売で収益をあげ、ダウンロード(再生)数によって分配金が割り当てられてきたが、ビデオポッドキャストは多くが再生デバイスやプラットフォームをまたぐなど様々な形で視聴されており、SNSで分割されて配信されるケースもある。そのため、単純にエピソードのダウンロード数だけでは本当に人気あるコンテンツを正確に把握することが難しくなりつつある。

Spotifyは7月の決算発表でユーザー数と加入者数が増加しているにもかかわらず、広告収入が減少していることがわかり、株価を下げる格好になった。その後は回復基調にあり、6月末時点の水準にまで価格は戻っているが、Netflixでの配信が広告収入増の後押しになるのかが気になるところだ。

関連キーワード: