多くのユーザーが不満を表明
動画生成AI「Sora 2」、著作権侵害の抗議を受け仕様変更。キャラクター生成できずユーザーは反発

OpenAIの新たなAI動画生成モデル「Sora 2」は、当初の1週間のみ、著作権者が使用を拒否できる「オプトアウト」方式を採用していた。これは、権利者からの異議がない限り、著作権のある画像や写真を自由に使用できるという仕組みであり、実質的に著作権フリーの状態となっていた。
その後、同社のサム・アルトマンCEOは「オプトイン」方式へと変更し、著作権者が自分のキャラクターの使用をより細かく制御できるようにしたと発表した。この方針転換は、Sora 2で生成された動画を共有するTikTok風ソーシャルアプリ「Sora」において、著作権で保護された素材が無断で大量に利用され、とくに米映画協会(MPA)から強い要請があったことを受けてのものだ。
アルトマン氏はブログ記事の中で、多くの権利者がこの新しい「インタラクティブなファンフィクション」を歓迎していると述べつつも、キャラクターを一切使用させないといった厳格な管理を求める声もあると認めている。
一方で、同氏は「本来は許容されるべきでない生成物」が世に出る可能性を認め、「当社の技術スタックを正しく機能させるには反復的な調整が必要だ」として、改善に向けた時間的猶予を求めている。これに対し、MPAのCEOは「著作権侵害を防ぐ責任は著作権者ではなく、OpenAIにある」と強調している。
そもそも、著作権侵害が疑われる動画が生成される背景には、学習データの段階で権利者の同意を得ていないことがあるとみられる。The Washington Post報道によれば、初期版Soraは著作権で保護された作品を無断で学習データとして使用していたという。
さらに、OpenAIは今年初め、トランプ政権に対しAI訓練データにおける「フェアユース(公正利用)」の適用を求めて働きかけていた。フェアユースとは、米著作権法で認められる概念であり、「著作権者の許可を得なくても、その利用が公正であれば侵害と見なされない」というものだ。
実際、AIスタートアップAnthropicも著作物を含むデータを利用したとして集団訴訟を受けたが、フェアユースが一部で認められている。もっとも、700万冊以上の海賊版書籍を違法に保存・複製していた行為はフェアユースではなく明確な著作権侵害とされ、最終的に約15億ドル(約2200億円)を支払うことで和解に至っている。
一方で、多くのユーザーは「好きなキャラクターを自由に使えなくなった」として不満を表明している。OpenAIとしては、こうした世論の反発をうまく味方につけようとする意図もあるのかもしれない。
- Source: Sam Altman
- via: Gizmodo