スマホ新法の施行を受けて

iPhoneの代替アプリストア「AltStore」が日本でも2025年末に提供開始へ

多根清史

Image:AltStore

AltStoreは、日本、オーストラリア、ブラジル向けにiPhoneアプリの提供を2025年末までに開始することを目指しており、さらに来年には英国でも展開を予定していると発表した。

AltStoreは公式のApp Storeに代わる存在として機能し、アップルの審査ガイドラインに抵触する可能性のあるアプリも提供している。2024年春、EUでデジタル市場法(DMA)が施行され、アップルに対して代替アプリストアの許可が義務づけられたことを受け、iOS 17.4で代替ストアのサポートが開始された。AltStoreはその仕組みを利用して、iPhone上で公式に利用できるようになった格好である。

これまでも「App Store以外のiPhone向けアプリストア」は存在していたが、それらはすべて脱獄(iOSのシステム制限を解除)を前提としていた。AltStoreは脱獄を必要とせず、アップルの公式保証も失われない点が大きな違いである。さらに、iOSのセキュリティを大幅に突破しない仕組みのため、安全性の面でもリスクが低減している。

日本でも2025年12月18日に「スマホ新法」が施行され、iOSでの代替アプリストア提供が正式に可能となる。ただしAltStoreは現在アップルと協議を続けており、具体的な開始時期はまだ確定していない。

また、AltStoreはオープンソーシャルウェブ「Fediverse」にも参加することを表明している。ActivityPubプロトコルを利用し、ストア内のアプリ更新情報やニュースをMastodonやThreadsといった分散型SNSと連携させ、相互にやり取りできる仕組みを導入する予定だ。ユーザーはAltStore内でMastodon上のコメントや「いいね!」を直接確認でき、Fediverse上のアクションがAltStore内にも反映されるようになるという。

なお、アップル本社のある米国では、司法省が同社を反トラスト法違反で提訴しており、訴訟は現在も継続中である。そのため、米国内では依然としてiPhoneにおける代替アプリストアのサポートは提供されていない。

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