2030年に退役するISSよりも、活発化する宇宙安全保障のほうが儲かる?
宇宙往還機Dream Chaser、ISS物資輸送から安全保障用途に主軸変更。2026年に試験飛行へ

スペースシャトルを約1/3ほどの大きさに縮小したような外観を持つDream Chaserを開発するSierra Spaceは、NASAとの間で結んだISS商業補給サービス2(CRS-2)の契約を大幅に縮小したことを明らかにしている。
CRS-2契約は、NASAと複数の民間宇宙企業の間で結ばれており、全事業者を合わせた予算総額は最大140億ドルにもなる。連邦政府の調達記録によれば、NASAはこれまでにCRS-2契約下でSierra Spaceに14億3000万ドルを支払うことになっているが、NASAの広報担当者は、競争に影響が出るため、契約改定後のシエラ・スペースとの契約額の公表は控えた。
この契約では当初、Dream Chaserを使った7回のISS物資補給ミッションが計画され、その最初の打ち上げは2024年に予定されていた。ところが、この予定は昨年2025年に延期となり、さらにここ最近ではNASAの関係者が同機の2025年内の打ち上げは難しいとの考えを示し、2026年にずれ込む可能性も示唆していた。
NASAのISS副プログラムマネージャーであるディナ・コンテラ氏は、9月中旬のNG-23シグナス貨物ミッションについてのブリーフィングでDream Chaserの進捗について「常にスケジュールの評価を行っている」と述べ、打ち上げに向けた試験と検証を継続しているとした。
しかし、Sierra Spaceは昨年の打ち上げ延期以降、ほとんどISS物資補給ミッションに関する情報を出していない。
Sierra Spaceは9月下旬に発表した声明でも、スケジュールの遅延に関する技術的な詳細は明らかにせず、ファティ・オズメン会長はその代わりとして「防衛技術市場への当社の進出加速と一致する、新たな脅威や実存的脅威、国家安全保障上の優先事項など、多様なミッションプロファイルのニーズを満たす独自の能力が提供される」と、開発の軸足をさらに国家安全保障方面に向けていることを強調した。
Sierra Spaceは近年、宇宙開発庁(SDA)の多数の衛星群向け衛星を含む防衛事業に集中する姿勢を見せており、6月には 国家安全保障プログラム専門部署となるSierra Space Defenseを設立している。
ちなみに、NASAとSierra SpaceはDream ChaserによるISS補給契約を完全に破棄したわけではなく、可能であれば物資補給ミッションも行うとしている。
- Source: Sierra Space
- via: New Atlas Space News