スーパーマリオ2が難しすぎて発見が遅れる

スーパーマリオ2に“新たなマイナス面”発見。発売から39年目に判明

多根清史

Image:Kosmic/YouTube

初代『スーパーマリオブラザーズ』には、「マイナス1面」と呼ばれる隠しステージが存在する。ワールド1-2のバグを利用して進入でき、正式名称は「ワールド36-1」である。

画面上では「36」の表示が欠落して空白になるため、「-1面」や「マイナス面」と呼ばれてきた。その内容はワールド7-2と同じ水中ステージだが、最後の土管に入るとスタート地点へ戻される無限ループ構造となっている。

この「マイナス1面」に相当する隠しステージは、続編の『スーパーマリオブラザーズ2』(英語圏では『Super Mario Bros.: The Lost Levels』)にも存在する。ただし、初代ほど多くは知られていなかった。ところが発売から約40年を経た現在、未発見だった隠しステージ群の存在が新たに報告された。

発見者はスピードランナーのKosmic氏である。厳密にはファミコン版そのものではなく、スーパーファミコン用『スーパーマリオコレクション』(米国では「Super Mario All-Stars」)に収録されたバージョンで確認された。

この隠しステージに到達するには、まずB-7やB-8といった高難度のバグ面を突破する必要がある。Kosmic氏は攻略不能に見える部分に直面したが、セーブ→終了→再ロードを繰り返すことで、通過できない障害を回避。結果としてB-9以降の新たな「マイナス面」へ到達することに成功した。

隠しステージへの進入条件は極めて複雑である。通常、ワープ土管に入ると画面スクロールに応じて次のステージデータが読み込まれる。だが、スクロールが不十分な状態で土管に入ると、ゲームは誤ったメモリ領域を参照し、想定外のステージへ飛ばされることがある。

そのため、壁に押し出される挙動や特定の操作でマリオを「スクロール不足の位置」に移動させる必要がある。これは1人のプレイヤーがリアルタイムで行うことは不可能に近い。Kosmic氏はスーファミ版のセーブ&リセット機能を駆使し、さらにコミュニティの有志の協力を得て成功に至った。

こうして辿り着いた先では、数値やグラフィックが無秩序に乱れた「サイケデリックなサイバーパンクの地獄絵図」と評される光景が広がっている。

なぜ40年近く発見されなかったのかについて、Kosmic氏は「高すぎる難易度」「初代より少ないプレイ人口」「特定条件を満たさないと発生しない」という三つの要因を挙げている。ファミコン時代には1人で遊んでいても決して気づけなかった隠しステージや裏技が、ネットを介した協力によって今後も他のゲームで発見されるかもしれない。

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