GoogleとF-Droidの主張は噛み合わず

Googleの新ルール、サイドローディングや代替アプリストアを一掃? F-Droidが警告

多根清史

Image:Mamun_Sheikh / Shutterstock.com

Googleは2026年から、Androidの認定端末にインストールされる全てのアプリについて、一部地域を皮切りに「開発者認証制」を導入する予定である。これにより、独立系Android代替アプリストアであるF-Droidが事実上存続できなくなる可能性があると、同ストアの運営チームが警告している。

F-Droidは「フリーかつオープンソースのソフトウェア」のみを扱うアプリストアであり、配信中のアプリはすべてソースコードが公開されている。ユーザーは広告やトラッキングなしで利用でき、15年の歴史を持つ。プライバシーを重視するAndroidユーザーにとっては人気の高いストアである。

運営チームはブログ記事で、今後すべてのAndroidアプリは政府発行のIDなどで本人確認された登録開発者のIDに紐づけられると説明している。さらに、アプリの識別子や署名キーもGoogleに直接登録する必要があるため、GoogleがPlayストア外のアプリも含めて検証を担う「中央機関」となる仕組みになるという。

そのため、新ルールが発効すると、代替ストアは開発者のキーやIDの管理権限を持たないため、自由なアプリ配布が難しくなる。F-Droidは「F-Droidやその他のフリー/オープンソースアプリ配布は、今の形としては終わる」と警告している。

Googleは、この規則によってセキュリティが向上しマルウェアの防止につながると主張している。しかしF-Droidは、Playストア自体が過去に何度も悪質アプリをホストしてきた事実を指摘し、すでにAndroidにはPlay Protectなどの保護機能があることから、むしろオープンソースによる透明性の高いF-Droid方式の方が信頼できると反論している。

さらにF-Droidは、Googleの新規則がAndroidユーザーのアプリ入手経路を制限し、Androidの閉鎖的なエコシステム化を招くと警鐘を鳴らし、米欧などの規制当局による調査を要請している。

Googleは2026年9月から段階的に開発者認証制を導入する予定である。同社は「開発者は引き続きサイドローディング(正規ストアを経由しないインストール)や任意のアプリストアを通じた配布も可能だ」と説明している。

一方でF-Droidの主張は、新規則によってサイドローディングや代替アプリストアが完全に禁止されるわけではないにせよ、真の意味での自由な流通や配布が不可能となり、実質的に代替アプリストアが死ぬということだ。今後、Googleがこうした声に耳を傾けるのか、あるいは規制当局が介入するのか、引き続き注視したいところだ。

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