PIFは任天堂やコーエーテクモにも投資
EA、最大500億ドルで株式非公開化か。サウジPIFやシルバーレイクが共同買収との報道

米ゲーム大手パブリッシャーのエレクトロニック・アーツ(EA)が株式非公開化され、最大500億ドル規模で買収される計画が進んでいると、The Wall Street Journalをはじめ複数の大手メディアが報じている。
各報道は匿名の情報源を引用しており、今週中にも正式発表される可能性が高いという。このニュースを受け、直近1か月ほど横ばいを続けていたEAの株価は約15%急騰した。
投資家グループにはシルバーレイク、サウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)、そしてジャレッド・クシュナー氏が率いるAffinity Partnersが名を連ねている。WSJは、この動きが過去最大規模のレバレッジド・バイアウト(LBO:買収対象企業の資産などを担保に融資を受け、その資金で買収する手法)となる可能性を指摘している。
サウジPIFはすでに昨年時点でEA株の約9%を保有しており、大株主の一つとなっている。同ファンドは任天堂、カプコン、コーエーテクモといった日本のゲーム企業にも積極的に投資しており、Nianticのゲーム事業(『ポケモンGO』など)の買収にも間接的に関与している。
EAは1990年にNASDAQに上場し、1996年には時価総額16億ドルに到達した。現在では『Madden NFL』『EA FC(旧FIFA)』『The Sims』『Battlefield』などの大規模フランチャイズを擁している。2025年3月期通期では売上高が前年比1.3%減とわずかに減少したものの、営業利益率は20%以上を維持しており、一定の安定感を示していた。ただし、長期的には利益成長の課題を抱えており、業界平均を下回る成長率との指摘もあった。
今回の買収計画は、サウジ政府がゲーム業界への投資を一段と加速させていることを示す動きでもある。PIFは「Vision 2030」という経済多角化政策の一環として、石油依存からの脱却を目指し、テクノロジーやエンターテインメントを成長分野に位置づけている。
- Source: The Wall Street Journal
- via: Ars Technica