日本にも影響?
Amazon、Prime加入誘導の“ダークパターン”是正へ。米FTCと25億ドルで和解

米Amazonは米FTC(連邦取引委員会)との訴訟について、25億ドル(約3700億円)の支払いで和解に合意した。この訴訟では、同社が顧客を「ダークパターン」によりPrime会員の自動更新契約に誘導し、さらに解約を極めて難しくしていたことが問題視されていた。
この訴訟は2023年に提起されたもので、FTCはそれから2年にわたり準備を重ねていた。そして9月から約1か月にわたる裁判が続く予定だったが、裁判期日直前に一気に進展した格好だ。
FTCはプレスリリースにて、裁判所の承認を条件にAmazonが10億ドルの罰金を支払い、「欺瞞的なPrime登録慣行により被害を受けた」とされる推定3500万人に15億ドルの払い戻しを行うことを確認した。返金額は平均して1人当たり約43〜51ドルとなる見込みであり、返金はAmazonの記録に基づき自動的に行われる予定である。
さらにAmazonは「Primeの違法な登録・解約慣行」を停止することにも合意した。加えて、第三者機関による監査を受け、その費用をAmazon自身が負担することも命じられている。
ダークパターンとは、ユーザーの意図に反して特定の行動を取らせるために、ウェブサイトやアプリのユーザーインターフェースが巧妙に設計されたトリックのことである。今回の訴訟では、例えば「無料配送を速く受ける」といった大きく目立つボタンを押すだけで、意図せずPrimeに加入してしまう設計や、解約手続きが複雑で時間を要する「イーリアッド(Iliad/古代ギリシャの長い叙事詩)フロー」と呼ばれる操作が問題とされた。
今回の和解により、AmazonはPrimeの加入ボタンについて「Join Prime(Primeに加入する)」という明確な表現を使用し、加入時には料金や自動更新の有無、解約の方法などを分かりやすく表示すること、そしてPrimeを辞めたい利用者に対して、加入時と同様に簡単に解約できる仕組みを提供することが義務づけられる。
FTCはまた、Amazonの幹部や従業員がPrimeの解約を極めて難しくすることを「意図的に話し合っていた」内部文書を引用し、そこでは「サブスクリプションを無理やり加入させるのは “ちょっと怪しい世界” であり、 “暗黙の癌” だ」と認めていたことを明らかにしている。
今回の和解を受けた米Amazonサイトの設計変更が、日本を含む他の国や地域にも波及するのか、注目されるところである。
- Source: FTC
- via: Ars Technica