ハイエンドとエントリーの2モデル展開

ASUS×マイクロソフトのポータブルゲーミングPC「ROG Xbox Ally」シリーズ発表。10月16日発売

山本竜也

ASUS Japanは9月26日、マイクロソフトとの共同開発によるポータブルゲーミング機「ROG Xbox Ally」シリーズを国内発表した。価格はROG Xbox Ally Xが13万9800円、ROG Xbox Allyが8万9800円(ともに税込)で9月26日から予約を開始している。発売は10月16日の予定。

Xboxとの協業で生まれた新世代ポータブルゲーミング機

「ROG Xbox Ally」シリーズは、従来のROG Allyシリーズのコンセプトを継承しつつ、マイクロソフトとのパートナーシップにより大幅に進化した製品となっている。ハードウェア設計からWindowsおよびXboxアプリのUIまで、すべての要素を共同開発で磨き上げたという。

同シリーズでは、ユーザーのニーズに応じて2つのモデルを用意。AAAタイトルを高性能でプレイしたいユーザー向けの「ROG Xbox Ally X」と、カジュアルゲームに最適化された「ROG Xbox Ally」をラインナップする。

ROG Xbox Ally X。カラーはブラックのみ
ROG Xbox Ally。カラーはホワイトのみ。カラー以外、両モデルに外観上の違いは見当たらない

AMD Ryzen Z2シリーズプロセッサを搭載

両モデルには、CPUとしてポータブルゲーミング機に最適化されたAMD Ryzen Z2シリーズプロセッサを搭載。「ROG Xbox Ally X」には50TOPSのNPUを備えたAMD Ryzen AI Z2 Extremeプロセッサ、「ROG Xbox Ally」には省電力性に優れたAMD Ryzen Z2Aプロセッサを採用している。

発表会に登壇した日本AMDの関 路子代表取締役副社長は、「ポータブルゲーミングデバイス市場は世界的に成長しているが、パフォーマンスを追求すると大きくなったり重くなったり、バッテリーライフが短くなるという課題があった。今回の製品はそれらの課題を解決する製品となっている」と語った。

日本AMD 関 路子代表取締役副社長

特にZ2 Extremeプロセッサについては、16のGPUコア(RDNA3.5)とZen5アーキテクチャによる8つのCPUコア(高性能コア3つ、省電力コア5つ)を搭載し、15Wから35WのコンフィグラブルTDPを実現。「ハンドヘルドデバイスとしては初となる50TOPS以上のNPUを搭載しており、これはCopilot+PCでも採用されている最高レベルのNPU性能」と関氏は強調した。

パフォーマンス比較では、前世代のROG Ally Xでのパフォーマンスモード設定時のゲーム性能が、新しいROG Xbox Ally Xではサイレントモード設定で同等の性能を発揮するという。Z2Aプロセッサも6WからのTDPを実現し、「ポータブルデバイスのゲームチェンジャーになる」としている。

発者が語る「ゲーマー視点」での製品づくり

続いて登壇したASUS ROG製品プロダクトマネジメントディレクターのGabriel Meng氏は、ROG Xbox Allyシリーズの開発思想について語った。

ROG製品プロダクトマネジメントディレクター Gabriel Meng氏

「私たち自身もゲーマーです。ゲーマーの視点で製品を設計し、自分たちの夢やゲーマーの夢を実現できるようなイノベーティブなデバイスを作りたいと考えています」とMeng氏。

2024年に発売したROG Ally Xは、前世代からの改良でメモリ増量、バッテリー大容量化、アップグレード可能ストレージ、グリップ形状の改善、カスタマイズ性向上を実現した。そして2025年は「ゲーミングからソフトウェア、パフォーマンス、ハードウェアまで、すべての領域で最高のエクスペリエンスを提供するトータルエクスペリエンス」を追求したという。

歴代ROG Allyシリーズ

またMeng氏は、「デバイスの電源を入れた瞬間から体験は始まります。ユーザーがゲームプレイに集中できるよう、できるだけ他の処理は自動化・バックグラウンド化することを追求しました」と開発コンセプトを説明した。

Xboxとのパートナーシップが生み出す新体験

発表会では、マイクロソフト Xboxチームのシニアプロダクトマネージャーリード Dominique Gordon氏も登壇し、パートナーシップの意義について語った。

マイクロソフト Xboxチーム シニアプロダクトマネージャーリード Dominique Gordon氏

「Xboxにとってハンドヘルドは自然な流れでした。ASUSと話を始めてから、別々に仕事をするよりも一緒にやった方がもっと良いものができると確信し、この共同開発が始まりました」とGordon氏は経緯を説明。

ユーザーフィードバックから2つの主要テーマが浮上したという。「1つ目は、Xboxユーザーがコンソールで体感している操作感をハンドヘルドでも同じように実現したいということ。2つ目は、Windows側と協力してパフォーマンスや使いやすさの改良を行うことでした」

その結果、ハードウェア面ではエルゴノミクス設計のグリップ、Xboxコントローラーの感触、おなじみのABXYボタンレイアウト、そしてXboxボタンによる高速アクセスを実現。ROG Xbox Ally Xにはインパルストリガーも搭載し、より没入感の高いゲーム体験を提供する。

ソフトウェア面では、起動と同時にXboxフルスクリーンエクスペリエンスが立ち上がり、「まるでXboxコンソールをつけたときと同じような体験」(Gordon氏)を提供する。

また、統合ゲームライブラリにより異なるストアのゲームを一元表示し、Xboxクラウドゲーミングとの深い統合も実現。「コンソールでプレイしていた進行状況や実績をそのままハンドヘルドに移行して、同じ状態を保つことができます」とのこと。

10月からは「ハンドヘルド互換性プログラム」も開始予定。ゲーム開発者と協力してテストを行い、どのゲームがハンドヘルドで快適に動作するかを明示する取り組みで、現在PCゲーム1,800タイトルが対応済みとしている。

対応ゲームには「Handheld optimized」と「Mostly compatibe」の2つのバッジが用意され、前者はハンドヘルドでも全く問題なく楽しめるもの、後者は若干の設定変更で十分楽しめるものとなっている。現在PCゲームの85%がこのプログラムに対応しているという。

充実したスペックと周辺機器

両モデルとも、ディスプレイには7インチフルHD、120Hz対応のTFTカラー液晶を搭載。ROG Xbox Ally Xはメモリ24GB(LPDDR5X-8000)、ストレージ1TB(PCIe 4.0×4接続)。ROG Xbox Allyはメモリ16GB(LPDDR5X-6400)にストレージ512GB(PCIe 4.0×4接続)となる。

インターフェースは、ROG Xbox Ally XはUSB4とUSB3.2 Gen2 Type-C、ROG Xbox AllyはUSB3.2 Gen2 Type-C×2となる。その他、両モデル共通でmicroSDカードリーダと3.5mmコンボジャック、電源ボタンにはWindows Hello対応の指紋認証センサーを搭載する。

バッテリー容量はROG Xbox Ally Xが80Wh、ROG Xbox Allyは60Wh。本体サイズは290.0×121.0×27.5~50.9mm。質量はROG Xbox Ally Xが約715g、ROG Xbox Allyが約670g。

コントローラーはXbox準拠。左側にはXboxボタンも備えている
背面にもボタンを2つ搭載
上面にはUSB-Cが2つ(Ally XはUSB4とUSB3.2、Allyは2つともUSB3.2)。電源ボタンには指紋認証センサーも搭載する。配置は先代のROG Ally Xと同様だ
底面には何もなし

また、専用アクセサリーとして、ACアダプタも収納可能な「ROG Xbox Ally 2-IN-1 Premium Case」や、ROG Xbox Allyシリーズのスタンドとして使用しながら、背面にあるUSB Type-AやType-C、LANポート、HDMIポートを使用することができる「ROG BILWARK DOCK DG300」も用意される。これは従来のROG AllyやAlly Xでも利用できる。

販売はASUS公式オンラインストアをはじめ、主要家電量販店で取り扱う予定。また、10月16日以降の週末には発売記念イベントの実施も予定している。詳細はROG Japan公式Xアカウントで順次発表されるとのことだ。

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