S/X/F/Eシリーズで別々のシャーシを開発
ゲーミングPC「GALLERIA」がラインナップ刷新。4シリーズ展開で“創作活動”も支えるブランドに

サードウェーブは、同社ゲーミングブランド「GALLERIA」(ガレリア)の新戦略・新製品発表会を開催。ゲーミングPCに対するユーザーのニーズが変化してきたことを前提に、今後はゲーミングだけでなく「幅広い創造活動を支えるブランド」としていくため、製品展開を再定義することを発表した。
現在、ゲームをきっかけに購入したPCが作ることや表現することに使われているケースが増えているという。同社取締役 上席執行役員 PC 統括本部統括本部長の西村祐典氏は、現在は「ゲームだけしかしないという区分は意味を持たない」とし、この変化を先取りするためにガレリアは「あらゆるユーザーが自分に最適な1台を見つけられるブランドへと進化する」と述べた。
これまでガレリアでは、単一のシャーシで製品を展開してきた。今後はシリーズごとにユーザーの用途を定義し、それに合わせて複数のシャーシを用意していく。併せて、ブランドのタグラインを「THE OTHER REAL」に変更。「踏み出せ、その場所へ」というキャッチコピーとともに、幅広い創造活動を支えるブランドを目指すとしている。

新たなラインナップでは、「S Series」「X Series」「F Series」「E Series」の4シリーズに加えて、コラボモデルが中心の「GSL(Galleria Special Line)」というラインで展開していくという。各シリーズの詳細を以下で紹介していく。
S Series

S Seriesは、フラグシップとしてガレリアで最高峰の体験を目指したシリーズ。従来のガレリアは主に一般のユーザーに向けたラインナップを中心に展開していた一方、最先端の高性能製品は限られていたという。ハイパフォーマンスコンピューティングを実現できる製品として、あらゆるハイエンドパーツの搭載に対応する。
コンセプトは、性能・冷却・造形美、すべてを極めたフラグシップ。技術と美しさを両立させたシリーズとして、ブランド志向ではなく先端・性能志向で開発したそうだ。ハイエンドのAMD Ryzen Threadripper プロセッサーを搭載できるほか、530mmまでのGPUに対応し、RTX 5090の搭載も可能だ。

ケースはフルタワーで、最大8基のファンを搭載できる。天面にメッシュを採用し、効率的なエアフローも追求している。2モデルを展開し、LEDファン搭載の演出重視モデル、Noctuaファン搭載の静音重視モデルを用意する。AMD Ryzen Threadripper搭載モデルは、今後スーパーハイエンドモデルとして用意するとのこと。
X Series

X Seriesは、コアシリーズとして最もブランドの信念を体現したというスタンダードシリーズ。「選ばれ続けた革新を、 ”いま” に受け継ぐ」をコンセプトに、ゲーミングとクリエイティブの両領域を支える構成を目指したとしている。
シャーシ開発にあたっては、上位CPUの発熱増加、GPU・水冷クーラーの大型化、カラーバリエーションや用途ごとの最適化などに応えられる柔軟さ、といった要件に対応することを目指したとのこと。一例として、フロントサイドに吸気経路を設けるエアインテーク設計を採用し、CPU温度を最大4%低減させた。
また、トップパネルにはメッシュ構造を採用。360mmの簡易水冷、140mmファンの搭載にも対応する。フロントデザインにはシリーズの特徴であるラウンデッドコーナーを設け、トップパネルはフラットにすることで外観の一体感を図っている。工具不要で簡単操作のクイックケアシステムも備える。

ライティング演出を備えるゲーマー向け、静音性と調和を重視した外観を設けたクリエイター向けの2モデルを用意。450モデル以上の幅広い構成と拡張性に対応する。
F Series

F Seriesは、自己表現の可能性を広げて新しいスタイルを切り開くというシリーズ。内部が見えるデザインやLEDによる光の演出といったデコレーションスタイルを取り入れつつ、ガレリアならではの設計思想を反映させたとしている。
ガレリア初となるピラーレスデザインを採用し、光の演出を設計に組み込むことで内部構造を際立たせることを目指している。15カラーの発光をワンタッチで切り替えられる物理スイッチや、ARGBケースファンの採用、鏡とハーフミラーによる反射構造で光が奥行きをもって続くように見える設計などが特徴だ。

トップパネルとケースボトムにはワンタッチ着脱式の防塵フィルターを搭載し、メンテナンス性にも配慮した。天面と側面の吸気構造を採用しつつ、簡易水冷CPUクーラーを全モデルに採用。ATXサイズのフルタワーとmicroATXのミドルタワーを、ブラックとホワイトの2色で展開する。幅広い構成と拡張性を備え、240モデル以上のラインナップを用意するとしている。
E Series

コンパクトな筐体を採用しつつ、高性能なパフォーマンスを目指したというシリーズ。現在開発段階にあり、正式発売は2026年春頃を予定している。
開発の背景として、大型なPC筐体を求めないユーザーが増えてきている一方、小型のケースは自作PC市場に留まっている現状を指摘。同社がコンパクトPCを開発することで、「高性能コンパクトPCを次のスタンダードに押し上げる」ことができるとする。
本シリーズによって、「リビングにも映え、住空間にも馴染む存在感、そして高いパフォーマンスを兼ね備えたPCをこれからの当たり前にしていく」ことを目指すと説明。その上で単にトレンドに寄せたPCではなく、ブランドの思想をしっかりと反映させ、強いこだわりやスタイルを求めるエンスージアズムにも響く存在だとアピールしている。
GSL(Galleria Special Line)

GSLは上記4シリーズと別枠という扱いで、コラボレーションにより生まれるPCをラインナップするための特別なラインだと位置づけている。これまで同社では数多くのコラボレーションモデルを展開してきたが、今後もこれを続けていく。
コラボにあたっては、BTOならではのハードウェアの自由度を強みにしながら、 “ユーザーの好き” と結びつくコンテンツ領域へと展開。「これまでにない自由な発想で市場に新しい選択肢を広げていく」とアピールする。
このラインは通常のモデルとは異なる特別な付加価値を備えており、生産期間や販売期間が限定的となっている。これまでのモデルでは『ストリートファイター6』推奨モデル、ぶいすぽっ!コラボモデルなどが該当するという。

また発表会では、新たなコラボモデルの展開も発表。9月18日に「Shibuya HAL」コラボモデルを発売する。今後の予定として、「Nachoneko」「葛葉」「REJECT」「猫麦とろろ」のコラボモデルを投入することを明かした。

発表会の冒頭では、同社取締役 社長執行役員 最高執行責任者(COO)の永井正樹氏が登壇。時代が移り変わってもガレリアがこだわり続けてきたのは「探求と挑戦」であり、今後もこの姿勢を続けていくと宣言した。

その上で、同社のミッションである「人々の創造活動の可能性を最大限にする」という思いのもと、ゲーム、クリエイション、AIなどの分野で「その力を存分に発揮できる環境を整えていく」と説明。今回の新製品はそうした想いを受け継ぎつつ、「今の時代にふさわしい新たな価値を備えている」と力を込めた。
また発表会には、ガレリアのPCを使用しているという、卓球の水谷隼さんが登場。ファンからガレリアを勧められて家電量販店で購入し、FPSタイトル『Apex Legends』を中心にゲームを楽しんでいることを明かした。F Seriesを見て「レインボーに光るのめちゃめちゃ好きなんですよね。このロゴがかっこいいですよね」と話すなど、新製品を絶賛していた。

そのほか、AMD、インテル、NVIDIA、マイクロソフトといったサプライヤーをはじめ、ゲームメーカーやeスポーツに携わる企業から、数多くのゲストが登壇。従来からのゲーミングPCから脱却しようとするガレリアの新たな展開を祝った。