古いSPレコードを192kHz/24bitでデジタル化し公開していました
ソニーら音楽レーベル、Internet Archiveへの著作権侵害訴訟で和解

世界中のウェブ情報をはじめとする様々なデジタル情報をアーカイブすることを目的とする非営利法人のInternet Archiveが、ソニー・ミュージックエンタテインメントやユニバーサルミュージックグループをはじめとする複数の音楽レーベルから起こされていた著作権に関する訴訟が和解に至ったと発表した。今後45日以内に訴訟は取り下げられるという。
この訴訟は、Internet Archiveが古い78回転規格のアナログレコード(SP盤。シェラック盤などと呼ばれる)をデジタル化して保管しようとして始めた「Great 78 Project」に対して起こされたもの。合意に至った詳細や条件は明かされておらず、公表の予定もないとのことだ。
数日前には、レコードレーベル各社がInternet Archiveとその創設者Brewster Kahle氏を除く全員が、共同和解に署名することに合意したとのうわさが流れていた。その中には「Great 78 Project」の録音エンジニアであるGeorge Blood氏も含まれていると言われていたが、結局Internet Archive側も和解に加わり今回の発表となった。
訴訟では、レコードレーベル各社は当初、過去のSP盤の音源の大半はすでにデジタル化してストリーミングサービスなどに提供しており、Internet Archiveのプロジェクトによって無料で音源が公開されたせいで再生数が減少し、損害額は4億ドルにのぼると主張していた。
これに対しInternet Archiveは、ダウンロード販売もストリーミングも、その数はそれほど大きなものではなく、損害賠償額はせいぜい4万1000ドルに満たない程度と主張した。ところが、レコードレーベル側はその後対象と主張する作品を大量に追加し、その結果推定損害額は約7億ドル(約1026億円)にまで増加した。
また、この訴訟と同じ昨年、Internet Archiveはアシェット・ブック・グループをはじめとする複数の書籍出版社との間で争った同様の裁判に敗訴し、多額の損害賠償を請求される状況にあった。
そんな状況で、米連邦地方裁判所は「レコード会社の主張の一部は時効が成立している」というInternet Archive側の主張を却下した。 Internet Archiveはレコードレーベルとの争いで、書籍出版社との争いのときと同じ轍を踏むことは避けたかったはずだ。
上で述べたように和解の条件は公表されないが、レコードレーベル側は音源コンテンツを公開したままにするのを許すとは考えにくい。現実的な落とし所としては、Internet Archiveがコンテンツを非公開化するのと引き換えに、損害賠償の免除または軽減という格好になることが考えられる。
- Source: Internet Archive
- via: Ars Technica Engadget