iPhone 6 Plusのbendgateで懲りている模様

アップル最薄「iPhone Air」、幹部がカメラの前で曲げテストを実演させる

多根清史

Image:Tom’s Guide(YouTube)

先日のiPhone 17シリーズ発表イベントで、アップルは超薄型モデル「iPhone Air」の耐久性について繰り返し強調していた。アップル幹部はテックメディアTom’s Guideのインタビュー動画に出演し、記者にiPhone Airを手渡して実際にカメラの前で曲げテストを実演させた。

iPhone Airは厚さ5.6mmで、アップル史上最薄のiPhoneである。イベントでの説明によれば、フレームにはグレード5のスペースクラフト用チタンが使用されており、強度・軽さ・耐久性を兼ね備えているという。さらにフレームと前後両面にはセラミックシールドを採用(背面への採用は初)し、従来モデルに比べ傷や割れに対して大幅に強化されたとされる。

こうした設計により、アップル社内の厳しい曲げ強度基準を上回る耐久性能を備えることが強調された。その背景には、2014年に「iPhone 6 Plus」で発生した「bendgate」の記憶がある。

iPhone 6 Plusはアルミニウム製の薄型ボディを採用していたが、従来モデルよりも曲がりやすいと複数のユーザーが報告していた。特に尻のポケットに入れて座る、あるいは手に持つだけで曲がってしまうという指摘が相次いだ。YouTubeなどには手で容易に曲げられることを示す動画が多数投稿され、米国の大手消費者団体Consumer Reportsのテストでも、iPhone 6 Plusの曲げ強度は「iPhone 5」や他社製スマートフォンより劣ると結論づけられていた。

今回のインタビューでは、マーケティング担当のグレッグ・ジョズウィアク氏がiPhone AirをTom’s Guideの記者に手渡し、曲げを試させた。記者は「全力で」挑んだものの、iPhone Airはわずかにたわんだだけで真っ二つにはならず、すぐに元の形状に戻ったことが確認された。

さらに内部バッテリーは金属ケースで保護されており、安全性が高いと説明された。またカメラ周辺の出っ張りは「プラトー」と呼ばれる新構造で、カメラ以外の部品を効率的に配置しつつバッテリー容量を最大化する狙いがあるという興味深い発言もあった。

もっとも、実際の使用環境では曲げだけでなく落下や引っかき、さらにはタバコの火など高温に晒されるリスクもある。そのため、過酷な耐久テストで知られるYouTubeチャンネル「JerryRigEverything」による検証が待たれるところである。

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