ソニー製イメージセンサー搭載はしばらく続く見通し

iPhone 19以降にサムスン製カメラセンサー採用か。まず中価格帯、その後にProモデルへ

多根清史

Image:Aleksandrkozak/Shutterstock.com

先月初め、アップルがiPhone用カメラセンサーの調達について、従来の供給元であるソニーからサムスンに切り替えるとの報道があった。当初は2026年の「iPhone 18」で採用されるとみられていたが、2027年の「iPhone 19」に延期されるとの予想が伝えられている。

iPhoneは長年にわたり、ディスプレイやDRAM、NANDフラッシュメモリ(SSDストレージ)など多岐にわたる部品をサムスンに依存してきた。そのなかでカメラ用イメージセンサーはソニーが独占的に供給してきた領域だったが、米政府のアメリカ製造プログラムの一環として、アップルは米国内に半導体工場を持つサムスンに切り替える見通しだ。

しかし著名アナリストのMing-Chi Kuo氏によれば、サムスン製の超広角用CIS(カメラセンサー)の量産開始は2027年、すなわちiPhone 19世代からになる見込みだという。このセンサーは、いきなり最上位モデルに搭載されるのではなく、まずは中価格帯モデルに導入される可能性が高いとされる。

ここから重要な点がいくつか読み取れる。第一に、「超広角」と特定されていることから、広角(メインカメラ)用センサーまで一気にサムスン製へ置き換わるわけではないこと。第二に、iPhone 19世代での実績次第では、高価格モデルへの採用時期も不透明であることだ。

こうした段階的導入の戦略は、自社開発の5Gモデムをまず廉価モデルのiPhone 16eや(おそらく)iPhone 17 Airに搭載し、様子を見る方針と符合している。

これまでの報道によれば、この新型イメージセンサーは三層積層構造を持ち、ピクセル密度の向上、低照度性能の改善、読み出し速度の高速化、消費電力の低減、そしてダイナミックレンジの拡大を実現できるとされる。さらにKuo氏は「1/2.6インチ 48MP超広角用」と具体的に言及している。

Kuo氏はこの動きを「アップルへのCIS供給におけるソニーの長年の独占を打破するもの」と評している。ただし、ソニーがiPhone向け受注を一挙に失うわけではなく、今後もサムスンとの技術競争が続いていくと見られる。

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