支払いたくなければWindows 11への乗り換え推奨

マイクロソフト、Windows 10延長サポートで年間1兆円を稼ぐ可能性

多根清史

Image:Piotr Swat/Shutterstock.com

マイクロソフトは、Windows 10のサポート終了(2025年10月14日)後の12か月間で73億ドル以上(約1兆800億円)の収益を上げるとの推計が伝えられている。世界中で1億台以上のWindows 10 PCが公共部門や企業で稼働しており、多くがマイクロソフトの有償セキュリティ更新延長を利用すると見られるためである。

この予測は、スイスに拠点を置くテクノロジー企業Nexthinkによるものだ。マイクロソフトは6月に14億台以上のデバイスがWindowsを稼働中と発表していたが、Nexthinkによればその約30%が公共部門や企業で使われているという。つまり、組織向けWindowsは約4億2000万台存在することになる。

さらにStatcounterのデータによれば、そのうち43%がまだWindows 10を使用しており、総計は約1億8100万台となる。Nexthinkは5月19日〜8月1日の間にWindows 10デバイスが33%減少したと推定しており、最終的にサポート終了の影響を受けるのは約1億2100万台になると見込まれる。これらはセキュリティ侵害リスクが高まるため、有償の延長セキュリティサポートを利用せざるを得ないというわけだ。

延長サポートの料金は、初年度が1台あたり61ドル、2年目は122ドル、3年目は244ドルとなる。61ドル×約1億2100万台で、約73億ドルという推計となる。ただし、Microsoft IntuneまたはWindows Autopatchの利用者は25%の割引対象となり、初年度は約45ドルに抑えられる。

こうした負担は、まだWindows 10が稼働しているマシンが多ければ多いほど膨らんでいく。一方で、有償セキュリティ更新延長への支払いを避ければリスクが高まる。個人ユーザーであれば「新しいWindows 11 PCを購入する」あるいは「要件を満たさないPCに無理やりWindows 11をインストールする」といった選択肢もある。しかし、予算や意思決定に制約がある組織にとっては、悩ましい課題となりそうだ。

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