ただし独占的・排他的契約は禁止

Google、「Chrome」「Android」売却回避。アップルとの検索契約も継続

多根清史

Image:Serhii Yevdokymov/Shutterstock.com

米連邦地裁のアミット・メータ判事は、司法省が求めていたGoogleのウェブブラウザ「Chrome」売却要求を退けるとともに、同社がアップルとの検索エンジン契約を継続することを認めた。この判決は、同判事がGoogleによるインターネット検索の違法独占を認定してから1年以上を経て下されたものである。

昨年の判決を受け、司法省はGoogleにChromeの売却を強制すべきだと主張し、その方針は第2次トランプ政権下でも引き継がれていた。

しかしメータ判事は司法省の要求を「行きすぎ」だと指摘し、「GoogleはChromeを売却する必要はなく、最終判決にAndroid OSの売却条項も含まれない」と230ページに及ぶ判決文で述べている。

もっとも、Googleは今後、検索やGoogleアシスタント、Gemini、Chromeの配布に関して独占的なプリインストール契約を結ぶことが禁止される。具体的には、Androidスマホメーカーに対しPlayストアへのアクセス権を得る条件として自社アプリの標準搭載を要求することはできなくなる。また、自社アプリをデフォルトとする見返りに収益の一部を支払う契約も認められない。

ただしGoogleは、アップルなどパートナー企業に対し、検索エンジンとしての位置づけやプリインストールに報酬を支払うことは引き続き許可される。メータ判事は「こうした契約を完全に禁止すると、流通パートナーや関連市場、消費者に悪影響が生じる」と述べており、排他的・独占的な契約のみが禁止されるという立場を示した。

さらにメータ判事は、Googleが今後、競合他社と検索データの一部を共有する必要があると裁定した。「競合他社にデータを提供することで、独占的流通契約が生み出す規模の格差が縮小され、それに伴う品質格差も解消される」という。ただし広告関連データの提供は義務化されていない。

今回の判決は、Googleにとっておおむね勝利といえる。同社はChromeやAndroidの売却が「米国国民および米国の世界的技術リーダーシップに損害を与える」と主張していた。

とはいえ、Googleはサービス配信方法に制限が課され、検索データの共有が義務付けられることについて「ユーザーやプライバシーへの影響に懸念がある」との声明を出している。今後、この点をめぐり控訴する可能性も高いと見られる。

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