FAA認証得られれば民間空域も飛行可能に

離陸から着陸まで無人。米空軍が「自律飛行貨物機」導入へ

Munenori Taniguchi

Image:Reliable Robotics

カリフォルニア州を拠点とする航空技術企業Reliable Roboticsが、米空軍との間にセスナ208B グランドキャラバン貨物機に自律飛行機能を追加するシステムの導入試験のため、1740万ドルの契約を結んだと発表した。

Reliable Roboticsの「Reliable Autonomy System(RAS)」は、航空機を離陸から着陸まで、パイロット不要で運用可能にすると、共同創業者兼CEOのロバート・ローズ氏は述べている。また同システムでは管制センターにいるパイロットが無線による操作で航空機のプログラミングを行うが、遠隔から直接機体を手動操縦することはないとローズ氏は付け加えた。

Reliable Roboticsはすでに、民間空域における無人自動操縦による航空機の運航に必要となる米連邦航空局(FAA)の認証取得作業を進めており、今後2年以内に最終的な認可を得る計画だという。ローズ氏は、この認証によって、自律飛行型貨物機が民間の航空機とともに同じ空域を飛行できるようになるとのことだ。

米空軍はアジャイル戦闘運用(ACE)構想の一環として、セスナ貨物機のような航空機を離陸から着陸まで自律飛行させられるようになれば、高額なパイロットの人件費が不要になり、より多くの兵站(へいたん、後方支援)活動が可能になると考えている。

だが、現在米空軍が使用している無人攻撃機であるGeneral Atomics製MQ-9 リーパーなどは、「FAAとの非常に緊密な調整が必要になる」ため、その運用における負担が大きく「無人機を飛ばそうとすれば、有人機よりも多くのパイロット(オペレーター)が必要になると冗談を言ってしまうほどだ」とローズ氏は述べている。

ローズ氏はさらに、FAAの認証が得られれば、民間機への統合が簡素化され、さらに人員だけでなく貨物輸送が可能になるとし、これまで物資輸送に集中していた米空軍が「将来的に兵員輸送にも関心を示す」ことももまったく予想外ではないとした。そして、信頼性の高い自律システムは「あらゆる種類の航空機」に搭載可能だとも述べている。

なお、Reliable Roboticsとともに行う試験プログラムでは、今回とは別の契約ではあるものの、より大きなKC-135ストラトタンカー(ボーイング707の姉妹機として知られる)にRASを搭載して自律飛行システムが空中給油作業をどのように支援できるかを検証することも計画している。

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