これが未来だ
チェス駒でドライブ?リンカーン100周年を祝う「L100」コンセプト
米リンカーンが、ブランド創立100周年を記念するコンセプトカー「L100」をカリフォルニア州ペブルビーチで開催されたモントレー・カー・ウィーク2022で発表した。
L100は100年のレガシーを大切にし、リンカーン初の高級車である1922年の「Model L」からもインスピレーションを得ているという。一方で将来の自動車はこうなるというデザインコンセプトであるため、この型破りな5人乗りクーペはリンカーンの伝統とラグジュラリーさを誇示しつつ、まるでラウンジのような空間を乗員に提供する。
完全な自動運転電気自動車であるため、もはや運転席(と呼ぶのかどうかもわからないが)にはハンドルもペダルも存在せず、車を走らせるには、宝石のようにカット整形された「チェス駒」風コントローラーを使うのだという。そして室内の周囲はほぼすべてがガラスで囲まれ、普通の自動車とは逆の後方ヒンジドアが備えられている。ガラスのルーフも同じように開くため、背の低い車にもかかわらず乗降はしやすそうだ。
フォードのデザインチーフであるアンソニー・ロー氏は「コンセプトカーの役割は、先進技術の助けを借りて新しい体験がどのように実現できるかを再考し、提示することを可能にし、デザイナーにこれまで以上の創造的自由を与えてくれる」と述べている。そして4月に発表されたSUVコンセプト「Star Concept」同様に、リンカーンのデザイン哲学であるQuiet FlightのDNAを推し進めたものだとした。
また、技術的な展望も興味深いものになっており、次世代バッテリー、つまりソリッドステート型バッテリーの搭載とインホイールモーターの採用が謳われている。これらは、室内空間を大きくとるのにも貢献するはずだ。
L100のコンセプトが市販車に生まれ変わって我々の前に姿を現すのがいつになるかはわからないが、おそらくは他の様々なコンセプトカーと同様、その特徴の多くが削ぎ落とされたものになっていることだろう。しかし、このコンセプトがリンカーンが進もうとしている方向を示していることはまちがいない。リンカーンは、2026年までに電気自動車(BEV)4車種を発売する予定だ。