地面に置かず、標的めがけて抱えていく地雷

米軍、固定翼ドローンを迎撃FPVクアッドコプターのクレイモアで撃墜する演習動画

Munenori Taniguchi

Image:US Army

米陸軍戦闘能力開発コマンド兵器センター(DEVCOM AC)は、アラバマ州フォート・ラッカーにおける演習で、固定翼ドローンをクアッドコプターで迎撃するプログラムを実施した。このような演習は珍しいものではないが、今回は迎撃するクアッドコプターがクレイモア地雷を搭載していた点が、いつもと異なっていた。

クレイモアは、C4爆薬にエポキシ樹脂で約700個のボールベアリングを固めた、小型かつ殺傷能力の高い指向性対人地雷だ。地面にスタンドで立てられた、やや反った弁当箱のような形のクレイモア地雷は、ゲームなどでよく見かけるものだ。

扱い方も多岐にわたり、手動やトリップワイヤー、その他の方法で起動させれば、約60度の円弧上に約100m先まで、細かく大量の金属球を吹き飛ばせる。これまでおよそ70年にわたって多くの国の軍隊やその他の軍事機関、組織で使われてきた。

今回の演習は、オペレーターが単独で操作する小型・低コスト・携帯可能なドローンの開発方法を研究する取り組みである「Project Shank」の一環として行われた。

演習はまず、フォート・ラッカーのタバーナクル・フィールド上空で、重量3.5kgの固定翼付きスカイレイダードローンを展開し、それを迎撃するためにペンシルベニア州国民警備隊の無人航空システム(UAS)のオペレーターが操作する迎撃用FPVクアッドコプターが展開された。

オペレーターは実戦同様の方法でスカイレイダーを探索し発見、クレイモアの影響範囲内に接近したところでこれを起爆した。

クレイモアの威力は抜群で、固定翼ドローンは至近距離から散弾銃で撃たれたかのように破壊された。一方、クアッドコプターは爆発の衝撃を受けて一時は通信が途絶したものの生き残っており、その後も操縦が可能だったという。

この演習の目標は、ここで得た知見を、ロシアによるウクライナ侵攻や中東紛争における様々な事例とともに改善・統合し、将来的に米国およびNATOの戦術に組み込んでいくことだという。

軍事用途の技術開発は、それが実戦に投入されることでいくつもの命が奪われ、また危険に晒されることになるため、あまり気分の良いものではない。しかし、それが総合的に抑止力として機能するほどのものになれば、紛争の終結や新たな戦争の回避にもつながるのかもしれない。

関連キーワード: